_+第71話+_ ページ23
Aside
気づいたら真っ暗な夜空に月が浮かんでいた。
｢月だけでもこんなに明るいんだね。｣
｢今日は雲が被ってないですからねー。｣
月が光る分、私の髪も光っている。
オビさんも同じことを考えていたらしく。
｢髪、短くなっちゃったね。｣
｢そうですね…でもこのくらいも気に入ってますよ！｣
すぐ乾きますし、なんて付け足す。
国に着いた日に結んだまま切られた髪は、毛先が整ってないから、今日整えようと思っている。
｢たしかに、これも似合ってるよねえ。｣
ふ、と髪に触れたオビさんの手。
梳いたりくるくるしたりして遊んでいる。
｢オビさんって、｣
｢ん？｣
｢私で遊ぶの好きですよね…｣
｢はは、たしかにね。｣
すっかりくつろいでるオビさんがなんだか可笑しくて笑ってしまう。
｢…なんか、安心したよ。｣
｢え？｣
｢式の時さ、A嬢、死んでるみたいな顔だったからさ。｣
｢し、死んでるって…｣
微妙な顔をする私にオビさんは変わらずケラケラ笑っている。
｢でも…本当に、オビさんには一番救われました。｣
｢え、俺連れ出しただけだよ？｣
｢んー…なんて言うか、心の支えだったんです。辛い時目つぶったらすぐオビさんが思い浮かぶくらいには…｣
って……本当のこと言いすぎた！
髪の毛を弄る手も止まってて、暗いながらにオビさんが戸惑っているのがわかる。
｢や、えっと、いつも助けて貰ってたので…｣
慌てて弁解しようとすると。
髪に触れていた手が後頭部に回って、そのまま引き寄せられた。
｢……っ、｣
とん、と軽く額が触れ合う。
あまりの至近距離に声も出なくて、固まったままになってしまう。
｢…もし、｣
｢……？｣
｢何かあったら、すぐ来るよ。｣
そう言うと、少し離れた頭を、次は肩口に引き寄せた。
お別れの挨拶、にしては。
たちが悪い。
｢……心臓が止まらない、｣
｢ふっ、ははは、止まったら困りますよ、お嬢さん。｣
ポン、ポン、と一定のリズムで頭を撫でられると、なんだか慰められてるみたいで。
｢…何もなくても、会いに来てくれますか。｣
なんて、今日の私は何か変だ。
｢もちろん。｣
よし！と立ち上がると、そろそろ帰りますか、と笑ったオビさん。
別れるのは寂しいけど、会えない訳じゃないから。
｢…はい！｣
一際明るい月の下で、伸ばされた手を取った。
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桐ノ葉(プロフ) - イヴさん» コメントありがとうございます(*_ _)そう言っていただいて嬉しい限りです…！初めての作品だったので拙い文章だったと思いますが、楽しんでいただけたのなら幸いです！ (2019年11月28日 21時) (
レス) id: 09acaf470e (このIDを非表示/違反報告)
イヴ - キュンキュンがとまらない、、、!とてもよい作品ですね! (2019年11月28日 19時) (レス) id: 7c0d35bb59 (このIDを非表示/違反報告)
白銀水龍(プロフ) - ありがとうございます！ (2019年11月22日 17時) (レス) id: 724789ecd5 (このIDを非表示/違反報告)
桐ノ葉(プロフ) - 白銀水龍さん» 居眠りをする様子のことを"船を漕ぐ"という言い方をするのですが、紛らわしいので変えておきますね！コメント有難うございます！ (2019年11月21日 18時) (レス) id: 09acaf470e (このIDを非表示/違反報告)
白銀水龍(プロフ) - 水を注ぐが船を漕ぐになっています。 (2019年11月21日 17時) (レス) id: 724789ecd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桐ノ葉 | 作成日時：2019年6月16日 13時
