_+第67話+_ ページ19
Aside
｢脈も正常ですね！もう大丈夫そうです。｣
｢良かった…長い間ご迷惑おかけしました。｣
騒動から、四日経って。
少し長引いた風邪は、ようやく完治した。
ただ、風邪を引いている間はほとんどオビさんが居てくれて話していたから全くと言っていいほど退屈じゃなかった。
｢白雪さん、リュウくん、オビさん。本当にありがとうございました。｣
三人以外にもお礼を言いたい人が居るから、体調も治ったことだし、と出かける準備を始めようとする。
｢病み上がり早々どこいくんだい？A嬢。｣
｢イザナ殿下とゼン殿下の所へ行こうかと…リュカ王国にいるんでしたよね。｣
｢あぁ、そっか。…ってちょっと待った。まさか馬乗ろうとか思ってないよね？｣
｢？…それが何か…｣
大袈裟に顔を顰めるオビさん。
何かまずいことを言っただろうか、なんてオビさんの顔を見つめていると。
｢危なっかしいから、俺の馬乗せていってあげるよ。｣
｢え。｣
｢A嬢じゃ落ちかねないでしょ、怪我しそうだし。｣
｢あの、｣
｢じゃ、外で待ってるね。｣
バタン、と閉じた扉。
びっくりするほど話が進むのが早い。
｢馬くらい乗れるんだけど…なあ。｣
思った以上に心配性らしいオビさんに苦笑を漏らした。
人通りの少ない道に、馬の走る音だけが響く。
私は今まで一度も思ったことがないことを思っていた。
……話が、続かない！
最初は、そんなことは無かったのだ。
周りの景色やら天気やら普通の話をしていたはず…だったのに。
途中、オビさんが手綱を引いたときに、思ったより距離が近いことに気づいてしまった、というか。
意識し始めたらなんだか会話も頭に入らなくなってしまった。
終いには結婚式の日のことを思い出してしまう始末。
慰めるためとはいえ、抱きしめられた、というのを思い出すだけで顔に熱が集まってしまう。
バレませんように、なんて自分の耐性の無さを呪っていると、
｢…A嬢。｣
｢は、い。｣
｢着いたよ。｣
｢…へ、｣
いつの間にか到着していた、らしい。
｢すみませ、降りますね。わざわざありがとうございました。｣
｢はは、どういたしまして。俺ちょっと戻らなきゃだから、また後でね。｣
はい、と頷くとオビさんは道を引き返していった。
｢…心臓が、煩い。｣
この熱は、しばらく冷めそうにない。
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桐ノ葉(プロフ) - イヴさん» コメントありがとうございます(*_ _)そう言っていただいて嬉しい限りです…！初めての作品だったので拙い文章だったと思いますが、楽しんでいただけたのなら幸いです！ (2019年11月28日 21時) (
レス) id: 09acaf470e (このIDを非表示/違反報告)
イヴ - キュンキュンがとまらない、、、!とてもよい作品ですね! (2019年11月28日 19時) (レス) id: 7c0d35bb59 (このIDを非表示/違反報告)
白銀水龍(プロフ) - ありがとうございます！ (2019年11月22日 17時) (レス) id: 724789ecd5 (このIDを非表示/違反報告)
桐ノ葉(プロフ) - 白銀水龍さん» 居眠りをする様子のことを"船を漕ぐ"という言い方をするのですが、紛らわしいので変えておきますね！コメント有難うございます！ (2019年11月21日 18時) (レス) id: 09acaf470e (このIDを非表示/違反報告)
白銀水龍(プロフ) - 水を注ぐが船を漕ぐになっています。 (2019年11月21日 17時) (レス) id: 724789ecd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桐ノ葉 | 作成日時：2019年6月16日 13時
