_+第65話+_ ページ17
オビside
しばらく声を押し殺すように泣いていたA嬢は、いつの間にか眠りについていた。
触れた手は変わらず冷たくて、まだ病気が治っていないことを俺に伝えた。
｢……無理しすぎでしょ。｣
目の下にはひどい隈があるし、唇は血が滲んでいる。
心做しか痩せたようにも見える。
肩くらいになった髪は切り口がバラバラで、誰かに切られたことは容易に想像出来た。
近くの小屋に運んでベッドに寝かせる。
ポン、ともう一度頭に手を置くと、目の端に溜まっていた涙が零れた。
Aside
｢お前のせいだ！｣
本当に、その通り。
｢お前のせいで俺達はこんなに辛い思いをしている！｣
辛い思いをさせてごめんなさい。
｢自分ばかり楽をするなんて許さない…｣
役立たずで、ごめんなさい。
｢お前なんて、いなくなってしまえばいいのに！！｣
どん、と突き飛ばされて暗い場所に落ちていく。
ごめんなさい、ごめんなさい、と謝り続けても非難する声が絶えない。
頭を抱えて、座り込みそうになったとき、一筋の光が指して、私はゆっくりとそれに手を伸ばした。
ﾊﾟｼｯ
｢うわっ、びっくりした。｣
ゆっくり明るくなる視界に入ったのは、驚いた顔をした、オビさん。
こちらに伸ばされたその手を、私が掴んでいた。
｢…ぉ、びさ｣
上手く声が出なくて咳き込んでしまう。
｢無理に喋んなくて良いよ。イール病は治ったらしいんだけど、重ねて風邪ひいちゃったみたいだから。｣
うなされてたから起こそうか迷ってた、とオビさんは笑った。
周りを見ると、懐かしい場所。
私の部屋だ、なんて考えて、すぐに意識を戻す。
今は、そんなことを考えている場合じゃない。
｢オビさ、ん、あの後…｣
｢？…あぁ、大丈夫、そっちは主に任せてあるから。それより…A嬢に会いたがってる人がいるんだよねえ。｣
｢……？｣
誰ですか、と聞こうとすると、ちょうど部屋に誰か入ってくる。
｢！……、目覚ましたんですね！｣
｢しらゆき、さん…｣
白雪さんがなんでここに、と思うやいなや。
｢…ご無礼を失礼します！｣
ビシッと額を弾かれた。
｢いっ…｣
｢ぶっ、ははははは！｣
笑ってる場合じゃないです、オビさん。
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桐ノ葉(プロフ) - イヴさん» コメントありがとうございます(*_ _)そう言っていただいて嬉しい限りです…！初めての作品だったので拙い文章だったと思いますが、楽しんでいただけたのなら幸いです！ (2019年11月28日 21時) (
レス) id: 09acaf470e (このIDを非表示/違反報告)
イヴ - キュンキュンがとまらない、、、!とてもよい作品ですね! (2019年11月28日 19時) (レス) id: 7c0d35bb59 (このIDを非表示/違反報告)
白銀水龍(プロフ) - ありがとうございます！ (2019年11月22日 17時) (レス) id: 724789ecd5 (このIDを非表示/違反報告)
桐ノ葉(プロフ) - 白銀水龍さん» 居眠りをする様子のことを"船を漕ぐ"という言い方をするのですが、紛らわしいので変えておきますね！コメント有難うございます！ (2019年11月21日 18時) (レス) id: 09acaf470e (このIDを非表示/違反報告)
白銀水龍(プロフ) - 水を注ぐが船を漕ぐになっています。 (2019年11月21日 17時) (レス) id: 724789ecd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桐ノ葉 | 作成日時：2019年6月16日 13時
