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自転車を取ってきたAちゃん (名前教え合ったんだよ) に帰り道を聞けば途中まで一緒だったから、二人並んで歩く。
出来るだけ歩幅を縮めてAちゃんに合わせてみたり。
「私もね、受験勉強あのファミレスでやってたの。だからなんかラウールくんを見掛けるようになって親近感を勝手に抱いちゃってて。頑張れ〜って思ってた」
「マジか!ありがとう。あれでも最初居なかったよね? 最近なのバイト」
「ううん。大学入ってすぐ始めたバイトだから長いよ。えっと、ラウールくんが居る時間帯にシフト増やしたから」
頬を赤くして真っ直ぐ前を向いて歩くAちゃんが言ってることが最初は理解出来なかったけど、あれそれって?と理解してこっちまで赤くなって頭を搔いてみる。
「ごめんね!深い意味はなくて、ほんと応援したいなって思ったというか」
「え? 応援?」
そういう事じゃないんだ? て、少しだけガッカリしてる俺。
今まで好意を寄せられても困ってただけなのに。
「ラウールくんを見てると、ちょっとだけ昔の私と重なるっていうか。何処か他人事みたいに周りを見てる感じというか。上手く言えないんだけど関心無いというか」
「……あー、うん」
他人事みたいに、関心が無い、確かにそうだなって。
どうでもいいんだ。
目立つ見た目のせいで勝手に俺のイメージが作られて独り歩きしてるけど、俺は漫画の世界の王子様キャラなんかじゃないし。
女の子をエスコートしたり、逆に軽くあしらってみたりも出来ない。
得にスポーツがめっちゃ得意というわけでもないし、勉強はそこそこだけど。
「目立つのが嫌でさ。人と関わるの苦手だから、知らないうちに壁作ってんのかも」
「嫌でも目立つよね」
「うん、だから周りを見ないようにしてる。だからAちゃんに応援されてるのも気づかなかった」
「あ、あれは私が密かにっ」
「?」
もうすぐでお互い反対方向に行かなきゃ。
少しだけ名残惜しく感じるのは、自分で次の言葉を探さなくてもAちゃんが色々話してくれていたからかな。
女の子と話すのが苦手だったのに、不思議と嫌じゃないと感じた。
別れるのがちょっとだけ残念だなって。
「それじゃまた」
「うん、また」
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ゆきんこ(プロフ) - azuhibimamaさん» ありがとうございます!名前シリーズ番外編も合わせると結構長いのに嬉しいです😊キューピット深澤さんは私もお気に入りでした😌ありがとうございました!! (2022年2月4日 21時) (レス) id: 98af39605d (このIDを非表示/違反報告)
azuhibimama(プロフ) - 名前シリーズを昨日から一気読みしてしまいました!すごく面白い!深澤and佐久間のお話が特にお気に入りです! (2022年2月4日 19時) (レス) id: a411539623 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2021年6月25日 11時