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「マジ嫌いそういう奴」
これ多分不正解。
でも俺の本心。
「……でも感謝してるんだ。私自分の感情出すの苦手だったけど、先輩と偽りの想いでも短い間だったけど付き合って。人へ気持ちを伝えようって思うきっかけをくれたから。だけど、やっぱり怖い。人と触れ合う楽しさを知ったから、その分また裏切られたらって怖くなっちゃった。だからね、ラウールくんが助けてくれたこと本当は凄く嬉しかったの。飛び跳ねて喜びたいくらい嬉しかった」
え、そんなに?
それはそれでちょっと照れる。
「でもそれと同じくらい、私の中でどんどん大きくなっていく感情が怖くて」
あーあ、俺ダサくない今。
多分最初から分かってた、こうなるんじゃないかって。
「Aちゃん、上手く言えるか分かんないけどさ。俺の話、聞いてくれますか?」
ここまで色々話してくれたAちゃんに、やっぱり男として俺は伝えたいと思ったから、僅かに震えるAちゃんの手を握った。
冷えた缶を握っていたせいか、その手は冷たかった。
「俺ねAちゃんのこと……好き」
「え!?」
はは、そんなに開いたら大きな目がポロって落ちちゃうって。
あーすっげえ緊張する。
俺の手が震えてるのか、それともAちゃん?
「Aちゃんがずっとニコニコ笑ってくれてるのとか、話してくれるのとか。気づけば気になってた。勉強に集中したくて通ってたのに、今じゃAちゃんとまた話せるかもって期待があったんだと思う」
「嘘……」
「じゃないよ。俺、器用じゃないから。付き合ったことだってないし、そんな奴が嘘なんてつけないって」
「ほんとに? でも、」
疑っちゃうよね。
大好きな人に裏切られたら、次の恋愛だって臆病になって当然だと思う。
「俺不器用だから、Aちゃんを不安にさせることも不快にさせることもやるかもしんない。でもこれだけは誓うよ」
大丈夫。
似た者同士の俺たちならさ、二人のペースでやっていけると思うんだ。
ギュッと握った手を引き寄せたら、小さなAちゃんの身体が俺の腕の中にすっぽりと収まった。
ごめんね。面と向かって言うには恥ずかしくて。
「Aちゃんにはずっと笑っててほしい…俺の隣で俺と一緒に」
「ラウールくん」
肩に顔を埋めていたAちゃんは、俺の背中に腕を回してギュッと抱きついた。
「嬉しいっ!」
その声はまた少しだけ震えていた。
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ゆきんこ(プロフ) - azuhibimamaさん» ありがとうございます!名前シリーズ番外編も合わせると結構長いのに嬉しいです😊キューピット深澤さんは私もお気に入りでした😌ありがとうございました!! (2022年2月4日 21時) (レス) id: 98af39605d (このIDを非表示/違反報告)
azuhibimama(プロフ) - 名前シリーズを昨日から一気読みしてしまいました!すごく面白い!深澤and佐久間のお話が特にお気に入りです! (2022年2月4日 19時) (レス) id: a411539623 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2021年6月25日 11時