八品目 ページ10
side.E
「これ、一緒に食べへん?」
オスマンさんの口から紡がれた言葉に思わず目を見開いた
「え、ええの！！？？」
嬉しすぎてすっとんきょうな声が出る
ここは本来静かにするべき場所だが、今はそれどころではない
あの、噂に名高い...『桜屋』の品を...食べられる日が来るとは...!!
一人心の中でジーンとしていると
「まあこれもらえたのはエミさんが噂教えてくれたのもあるしな」
と楽しそうな笑みを浮かべたオスマンさんが呟いた
そして「あ、でも」と思い出したかのように言うと
人差し指を唇に当て
「グルッペンには内緒やで?」
といたずらっぽく笑った
思わずコクコクと頷いて「絶対内緒にする」と約束する
だってあんなに行ったというのに一度も開いてなかったんやで!?
やっと念願の『桜屋』の料理を食べることができるのだ
そのためなら我が上司であるグルッペンに内緒ごとの一つや二つ、朝飯前である
あ、そうだ、最近新しい紅茶を買ったんだった
どうせならオスマンさんにも飲んでもらおうと思い
「折角なので軽くお茶でもしませんか?」
と深緑の彼をお茶会に誘う
すると、オスマンさんは待ってましたと言わんばかりに「するめう！！」と答え
袋を大事そうに持って書庫の奥へと歩いていった
待ちに待った噂の品に心を躍らせながら、私も書庫の奥に向かった
勿論、誰も入ってこないように書庫の鍵を閉めて
ーーー
「なんやこれうっま！！！！」
ただいま私、エーミール
絶賛幸せ満喫中であります
なぜ私がこんなにもテンションが上がっているのかというと...
遡ること数分前
オスマンさんから頂いた“桜餅大福”というらしい品は、薄いピンク色のふっくらとした
どこかの本で見た極東の国で言う「オモチ」のようなものだった
「手で食べるんやでこれ」とオスマンさんに教えられ、おそるおそる手で触れると
感動しそうなほどふわっふわのもちもちだった
思わず手に持ったそれを数秒間凝視する
「ふわっふわのもちもちやろ?」
オスマンさんの言葉に激しく相槌を打つ
すると彼はクスリと笑い
「食べてみいや、もっとびっくりするで」
と、私が手に持つ“桜餅大福”を指差して言った
私はそれに、コクリと頷きドキドキしながら手に持ったそれを口に入れた
ーーーそして、冒頭に戻る
正直、予想外だった
まさかこんなに美味しいとは
緩まる頬を気にも留めず、味わってそれを食べる
幸せとは正に、こういうことを言うのだろう
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 411人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヤオリム(プロフ) - 夢主君の喋り方好きやなぁ。落ち着いた感じがしてええなぁ......。僕全然落ち着きがないねん( ;∀;)マ ジ で。← 一言でまとめると『マジでこの作品好き。』 (2020年2月22日 13時) (
レス) id: 5300aa66a5 (このIDを非表示/違反報告)
藍色鳩羽 - しあ。さん» ﾌｧｯ嬉しいお言葉ありがとうございます...！！そう言って頂けて幸いです！これからも更新頑張るので読んで頂けると嬉しいです！ (2018年7月9日 21時) (レス) id: bb5ce71838 (このIDを非表示/違反報告)
しあ。(プロフ) - 描写細かいし色々と神やしサクラ君結構好きやし夢主君ドストライクやしぃ…好き(語彙力低下) (2018年7月8日 21時) (レス) id: 3344a8c17f (このIDを非表示/違反報告)
藍色鳩羽 - 井ノ原鈴華さん» 気付かなかった...！！誤字報告ありがとうございます！修正しました (2018年7月7日 19時) (レス) id: bb5ce71838 (このIDを非表示/違反報告)
藍色鳩羽 - トルンさん» それは良かった...！確かに最近マンちゃん動画出てないですねぇお声が聞きたいです()そう言って頂けて嬉しい限りです！！おおほんとですかwありがとうございます！更新頑張ります (2018年7月7日 19時) (レス) id: bb5ce71838 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：藍色鳩羽 | 作成日時：2018年6月5日 22時
