18.T ページ18
〆．
俺は不思議に思うことがある。
「なんでAちゃんってさ、しげくんって呼んでんの？」
「え？んー……なんでだろ〜」
神ちゃんは神山くん、流星は藤井くん、望は中学から一緒やのに小瀧くん。
やのに、しげだけ、しかもそう呼んでと言われたわけでもなく「しげくん」やったし。現場見たし。
淳太のことやから、不用意にAちゃんの前で「しげ」とは呼ばんはず、しげの話をせんはず……
ということは、Aちゃんはあの日初めてしげの存在を認知し、いきなり「しげ」というあだ名に「くん」をつけた凄い子、ということや。
「あ、思い出した」
「なになに」
しかしこれがまた、凄くないし(ある意味凄いけど)、しげが可哀想になる理由やった。
「あの時、しげくん自己紹介してくれたけど……聞き取れなかったんです」
「へ？」
「しげ……しか、聞き取れなくて」
へへ、と笑う。
結構ハッキリ発音してた気ぃするけどなぁ可愛ええからまあええか。
「じゃあ、聞き取れてたら……」
「重岡くんって呼んでたかも。……重岡、ですよね？」
「そんな感じやったと思う」
まあ……結果オーライやな！！
「どしたん〜？何話してるん〜」
突如しげが現れた！
しげは俺のことをグイグイ押し、俺とAちゃんの間にスっと入り込んだ。
「楽しそうやったけど」
「ふふ、しげくんのお話！」
「お、俺ぇ！？」
あ、これって俺おじゃま虫なやつやんな。
どっか行こうかな。
「はまちゃ〜ん……？任務放棄はあかんでぇ？」
ビクッ
「あ……淳太、や」
「Aとしげを二人きりにさそうとか思ってへんやろなぁ？」
こ、怖い………淳太怖いー！！！
「おおおお思うてへんよははは淳太くん、いや淳太さん、また明日〜ごきげんよう！！」
ダッシュで逃げた俺。
「誤魔化し方下手くそ過ぎやろ」
〆．
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作者名：はゆな
| 作成日時：2018年5月27日 14時
