17.A ページ17
〆．
「しげくん、はいっ」
キラキラな瞳でしげを見るAちゃんは、
もしかしたら一番、しげにとって危険人物かもしれない。
「こ、こ、ここここ、」
「ふふ、なーに？鶏の真似？」
「ぶはぁっ」
焦るしげだけで面白かったのに、Aちゃんの見当違いな返事に腹筋崩壊。
「親方！？何わろとんねん！！」
顔を真っ赤にしたしげが俺を睨みつける。
「気にせず、どーぞ」
「？」
Aちゃんは首をかしげ、さっきまでの行動を再開。
「美味しいよ？」
Aちゃんがしげにペットボトルを渡す。
Aちゃんが美味しそうに飲んでいたのをしげがじーっと見ていたら、
Aちゃんはしげが飲みたいと勘違いしたんやろう、「しげくんも飲んで！」と渡したのである。
以前にも間接キスだのあーんだのしたことはあるらしいが、まあなんせ好きな子やもんな？
「ほーんま、初々しいわ」
飲み口をガン見するしげを見て、また笑いが込み上げる。
「んー？あ！それ美味しいやつやんな！？ひと口ちょーだい」
わんわん、とも聞こえる。
望がしげからペットボトルを取ろうとしたのを、しげは凄まじいスピードで避けた。
「誰がやるか、ボケ」
それは聞いたこともないくらい低い声で。
意を決したのか、しげはゴクリとひと口飲んだ。
「ふふ。間接キス、しちゃったね」
「ぐはぁっ？！！」
「あ」
一人の天然小悪魔により、本日、一名昇天しましたとさ。
「よう鼻血の海を作り出す男やな、しげは」
「俺も飲みたいのに……」
〆．
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作者名：はゆな
| 作成日時：2018年5月27日 14時
