重岡大毅の弱点。

22.お母さん ページ22

〆．



「はぁ……はぁ…………」



息を整えながら、Aちゃんの家のインターホンを鳴らす。



Aちゃんが出てきたらいの一番に謝ろうと思っていたのに、



家から出てきたのはAちゃんのお母さんやった。



「あら、大毅くん？」



「あの……」



「Aちゃんはまだ帰ってきてないわよ」



首を傾げる。



「大毅くんと一緒じゃないなら、淳くんと一緒なのかしら」



淳太のことやろか。今度からかったろ。



「まあいいわ！上がって上がって、お茶でもいかが？」



「はい…」



自宅で待ち伏せしてたら確実に会えるやろ！



「ふふ、大毅くん、Aちゃんと喧嘩でもしたのかしら？」



「えっ！！」



バレてる！？



あ、これは一応お母さんにも言うとくか。



俺は全ての事情を話した。



大事な娘を傷つけた、と怒られるんやないやろかと思ったけど、そんなことはなかった。



「Aちゃんってば、本当に大毅くんのことが好きなのね〜」



「いやぁ……」



へへ。



「大毅くんがどれだけAちゃんのこと想ってるかもわかったし、今夜はご馳走ね」



「あ、俺は…」



「Aちゃんの昔の話でもしながら、どうかしら？」



「是非！！！」



Aちゃんの昔話とか、絶対可愛い！！



「Aちゃん、もともとは淳くんと結婚するーって言ってたのよ？ふふ」



「ふぁっ！？Aちゃん、淳太にプロポーズしてたんすか…」



「可愛かったわよ、シーツ体にぐるぐる巻いて、ドレス〜ってニコニコ笑ってたの。あ、写真見る？」



「見ます！！」



Aちゃんはほんまに大切に育てられたんやろな、って。



今度は俺が、Aちゃんを大切にするんや。



幼いAちゃんにデレデレしていたら、



「ただいまー」



玄関の方から、淳太の声がした。



「え？知らん靴ある…」



「この靴……しげくんの…」



俺のAちゃんセンサーが反応した。



きっとAちゃんは、俺に会いたがってた。



自信過剰かもやけど、そうなら抱き締めたい。



〆．

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