《桃》ひとりの夜に3 ページ49
〆.
結局お風呂もありがたく入らせてもらい、
着替えも貸してもらい、
髪も乾かしてもらうという至れり尽くせりな夜を過ごした。
そろそろ寝よう、と望くんが言ってから、
なぜか布団の上で向き合って座っている状態が続いている。
「ごめん………お世話になりっぱなし。それに、望くんのおかげで私たち、結ばれたのに」
「そんなん、ええから」
「申し訳なさすぎて……」
「ほんまにええの。………何も考えずに、ただ、泣いたらええやん」
ぐっと抱き寄せられ、
その大きな胸板に頭がぶつかった途端
どうしようもなく込み上げてくる感情が
私の涙をも押し出した。
「………っ、うう、っ、私、ほんとに好きだったのに、」
「ん、」
「あんなやつ、あんなやつ………嫌いに、なりたいのになれない、やだ、」
「ん、」
「悪いところぜーんぶ言ってやりたいのに……それすらも好きだから、っ」
別れを告げてきた相手に対し、ここまで愛情が溢れてしまうだなんて。
それを受け止めてくれる望くんはどれだけ優しいのだか。
「今晩、ちょっと期待してたのに……っ!初めて、ぎゅーも、ちゅーもできるって、ファーストキスこの人ならいいって、」
ぽろぽろと涙や本音を落としていくと、
望くんが無表情で私を引き剥がす。
「、」
流石にやりすぎたか。
謝らなきゃ、と口を開こうとしたのに
それは彼からのキスによって遮られた。
「好きな人のそんな話、やっぱもう聞きたくない」
「………の、望くん、」
「ファーストキス、奪ってごめん。でも、Aがいつか俺がファーストキスの相手で良かったって思えるくらい頑張って、
惚れさすから」
「そんなの、私のことが好きって言ってるみたいなもので、」
「言うてるんやんか。………俺は、Aのことが好き。もっと行動で示そうか?」
再び近づく唇。
抵抗しなければ、彼の方から離れる。
「……諦めて受け入れるとか、失恋直後やから誰でもええとか、そんなんは嫌やねん。
俺やないとあかん、って思わせたいから」
最後にくっついたのはおでこ同士。
赤いのは私の目と、彼の耳。
私が聖夜に信じるべきは
彼の速まった鼓動なのかもしれない。
〆.
ボツ理由:
短編集の一つとして用意しましたが、他の話を思いつかず、3話だけの作品にするのも……と思いこちらへ。
〆.
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な(プロフ) - 『助けて』がものすごく好きで何回も読み直しちゃいます!!作品って出ないですかね、、?( (2021年4月13日 17時) (レス) id: 2564ce127a (このIDを非表示/違反報告)
はゆな(プロフ) - 瀬結さん» コメントありがとうございます♪どうぞどうぞ、私もめちゃくちゃ好きな設定なので普及してほしいです(笑)頭の中でも執筆するでも自由に妄想してくださいませ! (2020年4月2日 11時) (レス) id: 0477dc60f8 (このIDを非表示/違反報告)
瀬結(プロフ) - 『神ちゃんラブな君に。』がドストライクすぎます!!最高です!!勝手に続き妄想しててもいいでしょうか?? (2020年4月2日 7時) (レス) id: 3ef3bc6ba7 (このIDを非表示/違反報告)
萌(プロフ) - カフェのカレ内容好きすぎて…続編期待してもいいですか?! (2019年6月3日 1時) (レス) id: fadb0e3e13 (このIDを非表示/違反報告)
名無し61216号(プロフ) - なつの恋びと最高でした普通に小説で出していただきたいくらいです!これからも頑張ってください (2019年4月30日 16時) (レス) id: f0a5adcd2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はゆな | 作成日時:2019年4月22日 18時