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···迷った。
この病院広すぎんねん！
というか俺、神山くんの病室知らへんし！
「あー何やってんねやろ」
？「何が？」
「うわっ！神山くん！？」
帰ろうと思って振り返ったら、
そこにはずっと探しとった神山くん。
緑「神山くんってなんか他人行儀やなぁ。神ちゃんでええよ」
ふふって笑いながら俺を見つめる神山くん···
いや神ちゃんを見れば、朝から驚いてばっかの自分が笑えてくる。
「俺も、望とかのんちゃんでええよ。あと、さっきはごめんな？」
緑「ん？何が？」
「あの、」
緑「ああ···別に気にせんでもええよ、慣れとるし。それより、のんちゃんは何でこんな病室から遠いところにおるん？」
「それは神ちゃんを探して、」
緑「それでこんなとこまで来たん？のんちゃんってアホやろ笑」
そう言って、神ちゃんはまたクスクスと笑った。
怒ったり、笑ったり。
やっぱり神ちゃんは不思議や。
表情がくるくる変わる、たったそれだけ。
たったそれだけなのに、見とるだけでなんか心が柔いだ気がする。
「神ちゃんって面白いな」
緑「え？今おもろい要素なんかあった？」
「おん、あったよ。面白いとこ、いっぱい」
吹き抜けた風が、暖かかった。
それだけは鮮明に覚えていて。
何の変哲もない病院。
突然始まった入院生活。
そんな中で、出会った人。
この出会いが、俺たちの運命を大きく動かすことを知らずに、
俺はこの時、ただただ神ちゃんに魅せられていた。
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