真っ白な箱の中で。 (ページ4)

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“照史も分かってるとは思うけど、この病気はリハビリをしながら進行を遅らせることしかできひん。最終的には、移植が必要やと思う”

昔から変わらへん、淳太くんの嘘１つない言葉。

何で望やないとあかんかったん？

男でひとつで育ててきて、決して裕福とは言えへん生活。
　

そんな中でいつも笑顔で過ごしてくれた。

明るくて、優しくて。

いつも誰かに必要とされてきた子。

俺なんかよりもずっと輝かしい未来が、望にはあるのに。

桃「···おとん？」

「のぞむっ！？」

桃「おとん···泣いた？」

目が覚めた喜びで勢いよく立ち上がった俺に、かけられた言葉。

桃「···俺、なんか悪い病気やったんやろ」

「っそれは···」

つらつらと言葉を並べられて、明らかに動揺してしまった。

そんな俺を見て、相変わらず嘘へたやなぁってクスクス笑う望は、俺が朝まで見ていた元気な望と何の変わりもなくて。

···何もいえへんかった。

こんなときでも望は強かった。

桃「···俺は絶対、負けへんから。おとんをひとりになんてさせへんよ」

そう言って、俺に笑いかけた望。

その姿を見たら、うじうじしとる自分が情けなくて。

···俺ができる、精一杯のことをしようと思った。

「おとんも、望のこと支えるから。一緒に頑張ろな」

桃「···おん！」

もう２度と、大切な人を失いたくなんてないから。