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2-15(ユエル) ページ43

踏み込んで欲しくない事だって、あるだろう。そう思ったアリスは、先に帰っていると伝えて、一足先に帰ることにした。だが、やはり気になって、ちらりと掃除をするハッターを見る。一生懸命掃除するハッターに、アリスはとても悲しくなった。重く、石のような何かが心臓辺りに乗せられているようだ。

だが、だからと言って立ち止まるわけには行かないので、アリスは今度こそハッターの家へと帰って行く。ハッターの家まではそんなにかからず着くことが出来た。

家のドアを開けると、スリーピーとマーチが出迎えてくれた。アリスが1人な事、こんな時間に外に出ていた事から、マーチとスリーピーは何があったかはわかっていたようだった。

「アリスさん、朝からトランプ兵の相手、大変だったでしょう?」
「え?そんな事ないわ。だって、ハッターが全部倒してくれたもの」
「そっか。ハッターさん、今なら(・・・)倒せるから…」

マーチの言葉にアリスは、一層悲しくなった。確かにそうだ。今はアリスが白の(King)に選ばれて、ハッターを白の王妃(queen)に任命した事で、トランプ兵達を倒す能力、否、誰かを護る為の力を手に入れたのだ。それまでは、きっと敵わないながら、必死で守ってきたんだろうな、と簡単に想像できた。

「ねぇ、アリスさん。ハッターさんはきっと止めるだろうから、今話しておきますね」
「?」
「僕とスーリは、スラム街に住んでたんです。毎日、食べるものや水を探して回る1日。食べ物を手に入れても僕たちよりもずっと強い人たちに会ったら、力づくで横取りされる。何日も食べてない、なんてザラにありましたからね」

そんな話を聞いたアリスは、絶句した。アリスの住んでいた世界はそんなものとは無縁の世界だった。いや、きっとアリスの住んでいた国に限定すれば、の話だろうか。
外国ではいくらでもそういった事がありふれている、と学校の授業で習った。だけど、体感した事もなければ、実際にスラム育ちだと言われる子どもや大人に会ったわけでもなかった。

「夜は、とってもさむかったんだよー」
「そうでしたね。寝る場所の確保も大事でしたし…とにかく、一日一日を生きていくので精一杯だったんです。あと、あまり言わない方がいいかもしれないですけど…仲良く話してた人が、次の日には居なくなってるとか、冷たくなってる、とかそういう事もあったんですよ」

マーチの言葉にアリス何と声を掛けていいか、分からなかった。

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設定タグ:恋愛 , 異世界 , トリップ   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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ユエル(プロフ) - クルルさん» コメありがとうございます!不定期更新ですが頑張りますね(^^) (2021年1月11日 13時) (レス) id: 673d6f73a6 (このIDを非表示/違反報告)
クルル(プロフ) - めちゃくちゃ面白い!!!!サイコーです!!続き待ってます!! (2021年1月3日 23時) (レス) id: 297c8a2c3d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユエル×日向なつ x他1人 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年5月21日 1時

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