1-22(ユエル) ページ27
突然聞こえた声に2人はギョッとして、声が聞こえた方へ向く。
すると、そこには先程戦ったチェシャがいた。
だが、剣は鞘から抜いていないし、何より普通に話しかけている辺りで、彼に戦う気がないのは明らかである。
｢お、おう。つーか、猫！お前話せるんじゃねぇか！！なんでさっき一言も話さなかった！？あとなんだよその怪我！お前程の奴がそんなホイホイ怪我してんじゃねぇよ！｣
まくし立てられたチェシャは、ハッターへ近づいて、チョップをかました。
｢いで！何しやがる！｣
｢うるせー落ち着け。
オレ、一応腹黒ウサギに追っかけろって言われてっから、長話は出来ねぇ。
とりあえず、オレは一応生きてる。口も聞けるし耳も聞こえてんよ｣
｢じゃあなんで話さなかった？｣
｢一応チュージツなコマを演じてるんでな。
話せば、何言われるかわかったもんじゃねーからな｣
相変わらず、目に光もないし全身怪我まみれなチェシャだが、本来の彼はこっちなのだろう。
確かに聞いてみれば、こちらの方がしっくりくる。
｢あ、チェシャ。あたしアリス。白羽アリスよ。ハッターの知り合い？なのよね。
あたし達と一緒に来てくれない？
そんなにボロボロになってまで居るところとは、あたしは思えない｣
｢おじょーさん。それは無理な相談だ。
オレは、これでも黒の
あの腹黒ウサギがオレを役立たずだと思わねー限りは、切られやしねぇよ｣
そう言ったチェシャは、諦めていると言えばいいのか、遠い目をしていた。
そして、言い終えると、踵を返す。どうやら、もう戻るようだ。
｢わりーが、もう帰らねぇと。この暗い森ん中だ。いくら夜目が効いても、な。
つー訳で、お前らは見なかった。お互い、会わなかった。いいな？｣
｢は、おい猫！まだ話は――｣
ハッターが言い切る前にチェシャは、姿を消していた。
あれだけの怪我をしているのにすぐさまこの場から消える程、動けるなんて、とアリスは思った。
チェシャが去った以上、もうここに留まる理由はない。
ハッターとアリスはひとまずハッターの家へと向かうのだった。
characters：マッドハッター→←1-21（日向なつ）
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ユエル(プロフ) - クルルさん» コメありがとうございます！不定期更新ですが頑張りますね(^^) (2021年1月11日 13時) (
レス) id: 673d6f73a6 (このIDを非表示/違反報告)
クルル(プロフ) - めちゃくちゃ面白い！！！！サイコーです！！続き待ってます！！ (2021年1月3日 23時) (レス) id: 297c8a2c3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユエル×日向なつ x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年5月21日 1時
