検索窓
今日:3 hit、昨日:5 hit、合計:9,851 hit

1-1(ユエル) ページ6

――ふと、気がつく。どうやら、自分はいつの間にか気を失っていたらしい。そして辺りを見渡して、

「……!?」

絶句する。おかしい。つい先程まで、アリスは住宅街の裏路地に居たはずなのだ。なのに今、アリスは大きな城の門前にいる。その門もよく見てみればハート柄のトランプに頭や手足が生えたような人ともトランプとも呼び辛い者達が槍片手にそびえ立っている。その後ろには生垣。そして、その者達に守られた門も、ハートの様な形をしていた。

――あぁもしかして、夢でも見ているのだろうか?試しに、頰をつねってみる。痛い。残念ながら、今アリスがここにいる事は夢ではないらしい。

「ここは、どこ、なの?」

そう呟いてみても、返事を返してくれる者などいない。そこでふと気付く。ここに来る直前に持っていた、白い薔薇。

「まさか、これが原因……?そんなわけ、ないよね」

そう言葉に出してみるも、そうじゃないと確信できるものをアリスは何1つ持っていなかった。
とはいえ、いつまでもここにいるわけにはいかない。移動しなければ。そう、思った時だった。

「おい!そこで何をしている!」

「――!」

門前で警備をしていたであろうトランプ、のような人に見つかった。とにかく逃げよう。そう思って逃げるが、アリスを追って来てる者達はとても足が速いらしい。アリスが全力で逃げても中々撒けない。いや、寧ろ徐々に追い詰められている。

(えっ!?早くない!?)

アリスはそう思いながら、なおも全力で走る。しかし、段々と声が近くなり、もうダメだ。――そう、思った時だった。

「ぶっ!!」

いきなり、後ろから殴られたような、そんな声が聞こえてくる。アリスは、思わず振り返る。するとそこには、緑の上にサーモンピンクのような色のダイヤ柄が入ったロングコート、ライムグリーンの色のリボンが巻かれたシルクハットを被っている、ライトグリーンの髪をした男性がいた。
その男性は、アリスを追っていたトランプのような者達を殴り飛ばす。見た目に反し、その動きは随分とその行為に慣れているように見える。

「っち、やっぱ倒せねぇか……!」

どうやら、一撃を浴びせることは出来ても倒すまではいかないらしい。そんな彼に背後から忍び寄る影。アリスは、咄嗟に彼を庇おうと彼と影との間に入った。もちろん、アリスは戦うための手段など持っているはずもなく。殴られる。そう思って目をつぶった。

1-2→←Characters:白羽アリス



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (28 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
8人がお気に入り
設定タグ:恋愛 , 異世界 , トリップ   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ユエル(プロフ) - クルルさん» コメありがとうございます!不定期更新ですが頑張りますね(^^) (2021年1月11日 13時) (レス) id: 673d6f73a6 (このIDを非表示/違反報告)
クルル(プロフ) - めちゃくちゃ面白い!!!!サイコーです!!続き待ってます!! (2021年1月3日 23時) (レス) id: 297c8a2c3d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ユエル×日向なつ x他1人 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年5月21日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。