24. スペシャル対談 ページ25
WBC1次ラウンドも終わり、これからは負けたら終わり。
そんな中、とある会議室の一角で対談が行われていた。
『WBC戦士に聞いてみたー！』
『ということでですね、貴重な時間をお借りして、山本由伸投手にお越しいただいております。』
18 「お願いしまーす。」
『ここからは、普段通りでいいとスタッフさんから許可が降りましたので、ラフに進めていきます。』
18 「敬語じゃなくてええやろ？」
『全然大丈夫。いつも通りで』
『どう？初めてのWBCやけど』
18 「いろんなこと学ばせてもらってる。いろんな人と交流できるからさ、その人の技術的なところをたくさん吸収できるし」
幼馴染の2人。スタッフが想像していたよりも対談は盛り上がり、普段聞けない話が飛び出した。
そんな中、話題は結城に移る。
18 「アイドルってさ、大変？｣
『大変。私たちの仕事ってほんとに多種多様で、歌とダンス、バラエティ、ドラマ....いろいろあるやん。』
『だからどうがんばっても、歌手には歌で勝てんし、ダンサーにはダンスで勝てない。』
『アイドルって、すごく中途半端な仕事やと思ってて、私は。』
18 「中途半端....」
『ひとつの事に集中出来ないから。歌だけする訳にはいかんし、』
『でも、結局見られるのは結果だけやん。』
『それぞれに掛けられる時間って限られてるけど、どんなパフォーマンスをしたかで全部決まる。今後の仕事も。』
『プロ野球選手やってそうやん。防御率、打率...
全部目に見える結果でしか評価されん訳よ。』
18 「うん、」
『由伸もさ、投手四冠、ノーノー...いろいろ偉業やってきたけど、それにたどり着くまでの “努力” って、結果を出してからじゃないと認められんくない？』
18 「なんなら結果をだしても認められんよ、」
『.....そんなもんよね、私もそう。どれだけ結果だしても、女やからって、アイドルの紅一点やからっていう理由で認められんもん、笑』
そう、結城は悲しげな笑みを浮かべた。その姿は、山本の目にもしっかりと映る。
でも、と彼女は言葉を続けた。
『たとえ認められなくても、結果が出なくても、私は努力し続けたい。』
『アイドルの結城Aが終わるその瞬間まで、努力をし続けたいかな。』
芸能界引退を発表した結城。
アイドルの結城Aとして活動する期間は、あと2週間ほど。
アイドル人生が幕を閉じる時、彼女はどんな姿を見せてくれるのだろうと、山本は頬を緩めた。
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作者名：京香 | 作成日時：2023年7月20日 19時
