WASABI ３

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そんなきっぱり言われると、照れるやん。


「そ、そうかな・・・」


「うん。
あんな長い間、
一途に想ってくれる子、
なかなかおらんと思うで。
Aちゃんとなら、
喧嘩とかしても、
簡単に別れたりににはならんと思うやろ？」


「うん、まあ・・・
付き合い長いしな」


「なんや、大倉ちゃうみたい。
そんな照れて。
のろけもしいひんて。
可愛いな」


「か、可愛いて。
２８のええ大人つかまえて」


「けど、可愛いもんは可愛いやんか。
いっぱい幸せにしたってな。
Aちゃんは、俺にとっても、
かけがえない青春時代を一緒に過ごした、
大事な友達やから」


「うん・・・」


ヤスの言葉が、やけに胸に沁みた。


「でな、当日泊まるホテル、
こっちで手配させてもらうねんけど、
もちろん、Aちゃんと一緒の部屋でええやろ？」


「あ、うん。ありがとうな」


カップルなら、
当然のこと聞かれてるだけやのに、
妙に照れてまうわ。


つまりヤスは、
俺とAはもう、

男と女の関係やて思ってる、て、意味やん？


みんな、ずっと友達やったせいか、
ほんまに照れるねんて。


「大倉、照れ過ぎやろ。
俺まで恥ずかしわ」


ヤスがぱたぱた手で自分を仰き出した。


照れくさいけど、
ほんまに幸せやなぁって・・・









それから程なくして、
前の職場の課長の紹介で、
Aの再就職先が決まった。


急遽来週から働きに行くって決まってて。

俺の胸はもやもやしてる。


今度の会社は都心にあって、
社宅からも、
明後日から一緒に暮らす新しいマンションからも、
かなり遠い。


前と反対で、
男ばっかりの職場なんも、
気に入らんし。


あいつ、俺と結婚する気ぃ、ほんまにあるんかな？

それか、結婚しても働きたい派なんかな？


それならそれで、
Aの意思も尊重せなあかんしな。

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