WASABI ３

８ ページ10

まだ仕事は決まらないけど、

のんびりさせてもらってる。


このままでいいのかな、って不安が、
ちょっと胸をよぎることはあるんだけど。




金曜日。


夕方頃、

大倉から、


大倉19時半頃、帰る。


ってラインがきた。



今日はビーフシチューにしよっと。

新婚さんみたいで、
気持ちが浮かれてる。


ご飯作り終わった頃、
電話が鳴って、
大倉かと思い込んでたら、
アメリカにいる亮だった。


「A・・・ごめんな。
電話したりして」


「ううん。
そっちはどう？
まだ慣れてないか。
行ったばかりなんだから」


「うん、まあ。
ぼちぼちかな。
英語心配やったけど、
なんとかなりそう」


亮の声、なんとなく元気ない。

亮、不器用だから・・・


強がるから、心配なんだ。


「亮なら大丈夫だよ」


「用事やねんけど。
Aの部屋の鍵、持って来てもうて・・・
あと寮にあった荷物も。
どうしたらええ？」


うちにも亮の物が残ってる。

捨てるに捨てられなくて。


「亮の物はどうしよう。
そっちに送ろうか？」


「・・・うん。
そうしてもらってええ？」


私の物、処分しておいて、って、言えない。


亮を傷付けたくなくて。


「こっちの住所、メールで送るわ。
お前の荷物も送るな。
なあA・・・」


亮が言葉を切る。


次に、


「大倉、優しい？」


そんなこと、聞くの。


うん、すごくすごく優しいよ、なんて、答えられない。


友達の時と違って、
彼氏の大倉は、
いつもびっくりなほどマメで優しくて・・・


幸せが怖いと思う事がある。


「俺よりかは優しいに決まってるよな。
けどもしさ。
傷つけるような事されたら。
絶対に連絡してこいや。
今度は俺がお前の親友になるから」

９→←７

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す