WASABI ３

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「めぼしい店？」


「うん。
商店街で車停めるとこなさそうな、
美味しそうなパン屋さんとか」


「へぇ。
自転車は自転車で買うたらええやん。
誕生日プレゼントやからさ。
なんていうか、もっとちゃうもんが良くない？」


忠義は腑に落ちない顔してる。


「でも一番欲しいの、自転車なの」


「分かった。
明日、朝一で買いに行こ。
俺も買う。
で、早速買いもん行こか」


「うんっ」


嬉しくて、はしゃいだ声になっちゃった。


平日の昼間、
一人で過ごしてると、
週末はやっぱり待ち遠しい。


「そんな楽しみなん？」


からかわれて、すっごく恥ずかしい。


「いいじゃん、別に。
早く食べないと遅刻するよ？」


はあ。


私ってば、なんでこんな可愛い気がないんだ。


友達の頃は、

お前のそういうとこが、
女感じさせへんねん、て、
ダメ出しされてたけど・・・


「Aって、ほんま照れ屋やな」


予想外の言葉と、

身を乗り出して、
おはようのキスのおまけまで付いて来た。


「なっ、何してんの？
ご飯中に」


ますます、慌ててしまったじゃん・・・








面接の手応えは絶望的な感じ。


１名の募集に、
５人も来てたし。

目を引く美人さんや、
いかにもキャリアウーマン風の人もいて、
すっかり戦意喪失。


有給消化は今月末まで。

いきなり職場から消えちゃって、
迷惑かけてないか、
本当は心苦しい。


辞表出した時、

まひろ先輩に、


「有給余ってるでしょ？
明日っから来なくていいよ」


ズバッと言われたから、
行きづらくなっちゃって、
まあ、そのまんま。


やっぱ、課長の好意にすがるしかないかなぁ。

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