WASABI

１８ ページ44

週明けの月曜。

昼休みに喫煙室で大倉と会って、
今はもうこいつの顔、見れる精神状態やないのに。


女物のピアスがどうとか、
変な言いがかりをつけてくる。


けどそれが、
佐和ちゃんのやって、
俺のスーツのポケットに入ってて、
Aが見つけたって聞いて・・・


全部がつながった。


佐和ちゃんがわざと入れたんか、
偶然落ちたんかは、分かれへんけど・・・

昨日からAが落ち込んでた理由は、
もしかして、これ？


それなら・・・

まだ間に合うんかな。


俺だけを、いつか見てくれる？


また期待してる。



誤解解きたくて、
Aに電話かけてみたけど、出てくれへん。

仕事中やろうし、仕方ないよな。


俺も今日に限って、めっちゃ忙しい。



取引先を出たんがもう８時で、
そっから、

前沢係長が佐和ちゃんを呼び出したシティホテルへ。

間に合うとええねんけど・・・



７０３号室。


そこで前沢係長が待ってるって話やったのに・・・


いつまで待っても前沢係長はこおへんし。


時間だけが過ぎてく。


「大丈夫ちゃう？
俺、そろそろ帰るわ」


部屋を出ようとした時に、


「ごめんなさい・・・
私、嘘ついてました」


涙声で言いながら、
いきなり、抱きつかれて。


そこで初めて、この子に騙されてたんやて、気付いた。


俺は真剣に考えてたのに・・・


セクハラ受けて悩んでたんはほんまやけど、
脅されてたんは嘘やって。


「ピアス、わざと入れたん？」


「彼女は・・・他の人、好きなんでしょ？
私は錦戸主任だけです」


泣きながら、すがりついてくる佐和ちゃんを振り切って、部屋を出てきた。


終電、逃してもうて、
タクシー拾って。


Aの部屋へと急ぐ。


部屋には電気は付いてなくて。

もう寝てもうたんかもしらん。


合鍵で中に入ったら・・・


男物の皮靴にぶつかった。


部屋の電気を、
恐る恐るつける。


間違いで、あってくれ。


祈る気持ちとは裏腹に・・・


Aに寄り添うように、
手をつないだまま、

ベッドにもたれて、
眠ってる大倉の姿が、

一番最初に目に飛び込んできた。



なんで・・・



嫉妬で頭がおかしなって、
どうにかなってまうんちゃうかと思った。


いっそAのことを、
嫌いになれたら。


楽になれるのに・・・







〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


まずは、大倉くんのWASABIとなります。


亮ちゃんのWASABIは、

６〜スタートです！

ジンとしびれて突き抜ける ／ 緑落ち。１→←１７

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す