WASABI

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綺麗にメイク施した目から、
大粒の涙がぽろぽろ零れ落ちる。


「どうしたん？
なんであんな目に・・・
いつもされてんの？
村上課長に相談しようや」


「やめて下さい。
村上課長には知られたくありません」


「けど・・・
そもそも、なんでセクハラなんか・・・」


真面目そうで、
前沢係長、そんな人には見えへんのに・・・


「私が悪いんです。
数百万単位のミスしちゃって・・・
係長がなんとか誤魔化してくれたんです。
でもその代わりに・・・」


「それって、脅しやん。
ミスのことも含めて、
やっぱり村上課長に相談しよ？」


「お願いします。
大事にしないで下さい。
係長に、動画、撮られちゃって・・・」


「動画？なんの？」


「・・・」


佐和ちゃん、そこまで言うたら、
泣き出してもうて・・・


もうお手上げ状態。


誰か近付いてくる気配して、
慌てて、


「後で話聞くわ」


思わずそう口走って、
給湯室、出て来てもうた。







会社やと誰に聞かれるか分かれへんし、
仕事帰りに、
会社から少し離れたカフェで待ち合わせした。


聞けば聞くほど、
前沢係長はゲスや。

もう救いようがないわ。


佐和ちゃんが残業してた時に、
無理に関係を迫ってきて、
洋服脱がされかけてんて。


その動画を撮られたらしくて、
それをネタに、
しつこくホテルに誘われるらしい。


「あんな動画、
会社の人に見られたら、
私・・・
生きていけません」


「なあ、やっぱ、
ここは村上課長に相談するしか・・・」


「錦戸主任だから話したんです。
他の人にまで知られたくない・・・」


「じゃあ、女子社員の先輩に・・・」


「女の敵は女です。
こんなことがばれたら、
私、会社にいられません」

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