悪の夢、正の夢 ページ42
その晩、変な夢を見た。妙にリアルな景色……だけどその景色は心当たりが全くないような場所。
霧がかかっている中、雨が降り注ぐ。シトシトと、体を優しく打つように降るひんやりとした雨。空を見渡せば、灰色とぼんやりした白だけが広がっていた。手には、血の付いたカッター。足元に広がる血は、その存在を視覚的に知らせるよりも先に私の鼻へ強烈な生臭さを与えてきた。
下を見れば、色んな人たちが転がっている。呻き声すらあげないその体からは生きているような雰囲気はなかった。そんな現実離れをしている景色を見たとき、思わず立ち尽くしてしまった。声にならない悲鳴をあげ、手足をガクガク震わせる。
遠くから足音が聞こえてくる。それは、傘も差さず私をじっと見つめながら立ち尽くすリスト君であった。その表情を見ることはできなかった。
「なんだったんだろう。変な夢……」
起きてからは、その夢が頭から離れなかった。大概、夢を見ても起きた瞬間に忘れる性分であるはずなんだ、よほど面白い夢でなければ。
私の感覚が面白く感じなくても、脳が「価値のある夢」だと確認したら記憶に残るのだろうが。
だとしたら、これはこの先何かに関係する……かもしれない。
どうでもいいが、起きたときから目に違和感がまとわりつく。しっかり見えなくはない、むしろいつもより景色が鮮明に見えている。
……それだ、目の違和感の正体は。
「セツナさん、気がつきましたか?その目の変化に」
私が目をぱちぱちと開いたり閉じたりしていたら、魔王が話をかけてきた。
……こいつだ、私に何かした犯人は。
「変なことはしていないよ。約束通り、ただ力を与えただけだ。真実を見極める目の力さ」
とたんに、私は好奇心に支配され、魔王にもっと話をするように求めた。
「いいだろう。私が与えたものは、本質を見極める力だ。相手が嘘をついているかどうかを相手を見るだけで分かるように……他にも見えざる物が見えるようになったりということもある。少し目が良くなったというのは、オマケさ」
納得した。これで、私は嘘をつかれなくなる。相手が嘘をついたら……
これは良くないな。
2人がお気に入り
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
all-A(プロフ) - cherrycherryさん» cherrycherryさんに依頼をして良かったです!ありがとうございました!あと、FBでずっと名前を間違えてました、ごめんなさい!!スライディング土下寝をして謝罪致しますo=__ (2018年6月30日 23時) (レス) id: 2088fb1627 (このIDを非表示/違反報告)
all-A(プロフ) - cherrycherryさん» 今まで指摘されなかった箇所を指摘していただいたので、更に成長できそうな気がしました(成長してみせます!)誤字脱字をまずどうにか直しますw地の文についてがなかなか難しそうだなと思いました。。。工夫する方法を模索しながら少しずつ直していきます! (2018年6月30日 23時) (レス) id: 2088fb1627 (このIDを非表示/違反報告)
cherrycherry(プロフ) - 誤字です。なんだか小説の醍醐味をし無して→小説の醍醐味を無視して です。失礼致しました。 (2018年6月30日 23時) (レス) id: 988260ed02 (このIDを非表示/違反報告)
cherrycherry(プロフ) - シンプルな文章から挑戦してみて下さいませ!以上を持ちまして私からのアドバイスを終了させてもらいます!これからも更新頑張って下さいね! (2018年6月30日 23時) (レス) id: 988260ed02 (このIDを非表示/違反報告)
cherrycherry(プロフ) - と思います。作者様は物語の構成がお上手だとお見受け致しましたので、そこをクリアして貰うとぐっとより良い作品に仕上がるのではないでしょうか?(*¨*) あとは比喩表現などを駆使し、文章に強弱などを付けるなどの技もありますが、まずは混乱を避けるためにも (2018年6月30日 23時) (レス) id: 988260ed02 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Olivie x他1人 | 作者ホームページ:https://m.facebook.com/profile.php?ref_component=mbasic_home_header&ref_page...
作成日時:2017年4月6日 23時