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セツナ、魔力に怯える ページ33

二人きりになってしまった。とはいえ、何か変なことをするわけではない。同じ空間で一緒に過ごすだけ。
今は、向かい合って食事をしている。私は集中できない食事になっているが……

「君は、どんな境遇からここに迷い混んだのかな?」

唐突に聞かれたそれは、私の喉を通りかけていた肉を引っかけた。

「なんでいきなりそんなことを聞くのさ」

「君の世界から平行世界に迷い混む人は皆、何かしらの事情を抱えているものだ。君だって、何かを抱えているんだろう?」

まあ、かなり大きな事情を抱えていたさ。だからといって、この場で話したくない。

「せめてご飯じゃないときに話したい」

そう言ってみると、彼はおとなしく引き下がってくれた。吐き出しそうになった口の中の肉を奥へ押し込むために水を口の中に流し込む。


*


お城のバルコニー。当然、外からはこのバルコニーは見えない。だけど、バルコニーからは外の景色は充分すぎるほど鮮明に見える。
群青の空、散りばめられた星の輝き。何物にも劣らない月光。
どうも、私は夜空が好きであるらしい。特に星や月が鮮明に見ているときは、私の体が、心が、私の感覚が浄化されていくような錯覚を覚える。

「私はね、お金持ちのお嬢様なの。ママが会社の社長でね、いつも忙しかったから私はひとりぼっちだった……」

気だるそうな様子で、壁に寄り添って、魔王は静かに話を聞く。

「ママが新しいパパを連れてきたの。人の家の肥やしを食い荒らすくそ男をね。結局アル中ですぐに死んじゃったけど」

「ママはどうなったんだ?心配しているかもしれないな」

「ママはそれより早く死んだ。交通事故でね」

重い空気が僅かに流れる。お互いそれを感じ、しばらく沈黙が流れる。

「悪いことを聞いたな……にしても、なんでここまで喋ってくれるのかな?」

ずっと、彼から顔を背けてきた。だけど、本心を伝える為に目を見て話をするが、どうしてもこのバルコニーで彼を見ると息を飲む。

「……仮にも、貴方の女だから」

そう、仮の関係。仮の関係なのに、余裕のある彼の顔は本気で惚れてしまいそうになるほど美しい。アミさんたちと一緒にいるときはヘタレ臭が尋常じゃないけど……
特に、月光の下での彼は恐ろしいほどに艶やかなのだ。これも、魔力だろうか?

ワープ癖→←魔王の本気



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all-A(プロフ) - cherrycherryさん» cherrycherryさんに依頼をして良かったです!ありがとうございました!あと、FBでずっと名前を間違えてました、ごめんなさい!!スライディング土下寝をして謝罪致しますo=__ (2018年6月30日 23時) (レス) id: 2088fb1627 (このIDを非表示/違反報告)
all-A(プロフ) - cherrycherryさん» 今まで指摘されなかった箇所を指摘していただいたので、更に成長できそうな気がしました(成長してみせます!)誤字脱字をまずどうにか直しますw地の文についてがなかなか難しそうだなと思いました。。。工夫する方法を模索しながら少しずつ直していきます! (2018年6月30日 23時) (レス) id: 2088fb1627 (このIDを非表示/違反報告)
cherrycherry(プロフ) - 誤字です。なんだか小説の醍醐味をし無して→小説の醍醐味を無視して です。失礼致しました。 (2018年6月30日 23時) (レス) id: 988260ed02 (このIDを非表示/違反報告)
cherrycherry(プロフ) - シンプルな文章から挑戦してみて下さいませ!以上を持ちまして私からのアドバイスを終了させてもらいます!これからも更新頑張って下さいね! (2018年6月30日 23時) (レス) id: 988260ed02 (このIDを非表示/違反報告)
cherrycherry(プロフ) - と思います。作者様は物語の構成がお上手だとお見受け致しましたので、そこをクリアして貰うとぐっとより良い作品に仕上がるのではないでしょうか?(*¨*) あとは比喩表現などを駆使し、文章に強弱などを付けるなどの技もありますが、まずは混乱を避けるためにも (2018年6月30日 23時) (レス) id: 988260ed02 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Olivie x他1人 | 作者ホームページ:https://m.facebook.com/profile.php?ref_component=mbasic_home_header&ref_page...  
作成日時:2017年4月6日 23時

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