戦犯 TheLastBorder

穴の正体 ページ14

私は翌朝、言いつけ通りにあいつらの元へと向かった。まあ、すぐ目の前だから『行く』……というと大袈裟だろうが。

「嬢ちゃんの役割はただひとつ。あの穴の前で『集中』するだけだ」

行って言われた言葉はなんともチンプンカンプンなことだった。

「集中すると言っても、何に集中すればいいの？」

「パラレルワールドだよ。『そこに行く』イメージを作って、それに集中すればいいんだ」

ここまできたら、ヤクザだのテロリストだの宗教集団だの……そんな問題じゃなくなってくる。気違いだ。集団妄想にでも掛かっているようだ。

「それだけ？私はどうなるの？」

「魔王に会ってくれ。失敗しなければ『ある森』の中に入れる。その森の中心に丘があって天辺に城があるんだ。そこにいる」

説明されればされるほど訳がわからない。

「うまくいった暁には、金に囲まれる以上の自由を手にすることができるだろう」

更に意味深なことを言われた。だけど、この言葉には特別惹かれた。まるで心中を見られたよう。

「安心しろ、あんた一人じゃない。後で俺たちも着いていくし、リスト君にも行ってもらうつもりだ。そのために君たちをここまで連れてきた」

結局こいつらの正体はまだ掴めず。

「じゃあ……あの穴は？」

「そうそう、勝手に近付いちゃダメだぜ？
あの穴がパラレルワールドに繋がっているんだから。
何故かあそこだけは壁が壊せなくてな……壁が壊せればパラレルワールドなんて跨ぐだけで行けるんだけど………だから今回、『特別な方法』でパラレルワールドに行くんだ」

もはや、理解の速度が追い付かない。追い付いてくれない。

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