カガクとパラレル ページ13
「……セツナさん。大丈夫?」
気がついたら、私はリスト君の隣で横たわっていた。リスト君が心配し、起きた私に一声をかけた。
あのときの賑やかさは大分治まり、今は普通に静かだ。
私たちをここに連れてきた二人と、その仲間のようなおよそ五人は、一つのテーブルを囲んで何か話をしている。お酒も入っているらしく、たまに小さな笑い声が聞こえる。別段シリアスな話をしている訳でもなさそうだった。
「……運転手の人に聞いてみたんだけどね。パラレルワールドに連れていくための実験体だってさ。本当にそんなものがあるのかな……?」
と、何気なさそうに呟くリスト君。私はこう返した。
「バカ言っちゃダメだよ。今の時代、パラレルワールドなんてもうSFの中だけの話じゃないんだよ」
実際そうだ。今でも世界各国でパラレルワールドの研究をしているだろう。中でも、猫と放射線と毒ガスの実験はその分野においては有名な話である。
「……良かった。僕以外にも信じてる人がいたんだ。頭狂ってるって思われたくなかったから、知らないフリをしてたんだ」
リスト君は、安心したようにうっすらと笑みを浮かべる。
「なんだ、君も信じてたんだ。現実から目を背けたいっていうオーラが出まくってたから、そんな気はしたけど」
私にはわかる気がする、彼の環境が。体は人一倍痩せこけており、髪の毛もボロボロ、明らかにやつれている。目の下には隈があり、まるで活気が失せている。その癖に、他人に向ける視線は攻撃的で獣のようにキツい。
何より……音、声、振動、このすべての感覚に過剰反応を示している。警戒本能が激しいのだろうか。だから、心に余裕もクソもないだろう。
だから、意地悪を含めた言葉を言ってみて本性を見ようと思うけど、中々見せてくれない。
「……あとひとつ……セツナさんは『明日の朝、来い』ってお兄さんたちが言ってた」
「そう」とだけ言って私は再び眠りに入った。
『……友人を人質に取った下劣な犯行。有名会社の故社長。その社長令嬢が誘拐の被害に』
『目の前で連れ去られた……怖くて何もできなかった』
『誘拐犯からの身代金の要求なし』
『家出のガキかよ』
『誘拐はウソじゃね?』
ニュースでも、ネット掲示板でも、今は私が話題の台風の目となり、渦を作っている。でも、何も残らなくなる。明日には……
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all-A(プロフ) - cherrycherryさん» cherrycherryさんに依頼をして良かったです!ありがとうございました!あと、FBでずっと名前を間違えてました、ごめんなさい!!スライディング土下寝をして謝罪致しますo=__ (2018年6月30日 23時) (レス) id: 2088fb1627 (このIDを非表示/違反報告)
all-A(プロフ) - cherrycherryさん» 今まで指摘されなかった箇所を指摘していただいたので、更に成長できそうな気がしました(成長してみせます!)誤字脱字をまずどうにか直しますw地の文についてがなかなか難しそうだなと思いました。。。工夫する方法を模索しながら少しずつ直していきます! (2018年6月30日 23時) (レス) id: 2088fb1627 (このIDを非表示/違反報告)
cherrycherry(プロフ) - 誤字です。なんだか小説の醍醐味をし無して→小説の醍醐味を無視して です。失礼致しました。 (2018年6月30日 23時) (レス) id: 988260ed02 (このIDを非表示/違反報告)
cherrycherry(プロフ) - シンプルな文章から挑戦してみて下さいませ!以上を持ちまして私からのアドバイスを終了させてもらいます!これからも更新頑張って下さいね! (2018年6月30日 23時) (レス) id: 988260ed02 (このIDを非表示/違反報告)
cherrycherry(プロフ) - と思います。作者様は物語の構成がお上手だとお見受け致しましたので、そこをクリアして貰うとぐっとより良い作品に仕上がるのではないでしょうか?(*¨*) あとは比喩表現などを駆使し、文章に強弱などを付けるなどの技もありますが、まずは混乱を避けるためにも (2018年6月30日 23時) (レス) id: 988260ed02 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Olivie x他1人 | 作者ホームページ:https://m.facebook.com/profile.php?ref_component=mbasic_home_header&ref_page...
作成日時:2017年4月6日 23時