霊柱は胡散臭い 肆【鬼滅の刃】

百四十六話 太刀川家 ページ12

「兄弟殺し？」

「あぁそうだ。私は殺し合いをするというあの家に頼まれて壺を渡したのだ。」

「何故鬼のお前が人間に……」

「ヒョヒョッ！だから太刀川家はイカれているんだ」



壺から出てくる化け物を斬りながらも頭の中はAさんについてで占められていた。



「太刀川家は鬼に怯えることより共存する事を目的としていた。霊力たっぷりの人間はそれはそれは美味でなぁ……アイツは己が生き残る為に兄弟を殺してその屍を我々に献上したんだ。」

「………黙れ。」

「見物だったぞ。兄弟を殺したあの男の自分が何をしたのか分かっていないような唖然とした表情。」





狂ったように思い出し笑いをする鬼に反吐が出る。




「鬼は恨みを買いやすくて呪いという物で弱体化することが年々増えて行ったが太刀川家と平和条約を結ぶことにより鬼は活性化。太刀川家も鬼に怯えることなく数人の兄弟の犠牲で快適に暮らせる。とても利口で愚かな決断だ。」

「さっきからゴチャゴチャ五月蝿いなぁ…」






――――霞の呼吸 陸ノ型“月(つき)の霞(か)消(しょう)”



「ていうか話聞いてればお前ら鬼がいるせいでそんなことが起こるんでしょ」




あたかも全てAさんが悪いみたいに。
あの人の過去に何があったのかなんて僕は知らないけど、理由なく兄弟を殺す人じゃない。

だってあの人は霊を祓う時いつも―――――――――






悲しい目をしてるんだ







「お前みたいな出来損ないの壺野郎が僕の師匠を語るな。」

「ヒョヒョッ！舐めるなよ小僧」





僕、分かってますから。Aさんが兄弟のことについて珍しく話してくれた時、凄い優しい目をしてたこと。

だから、この戦いが終わったら。僕だけの記憶じゃなくて…貴方の閉じ込めてる記憶も聞かせてください。

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