百四十五話 無とクズ ページ11
無一郎side
思い出した……全部思い出せたよAさん。
僕は双子だったんだ。兄がいたんだ。貴方と初めて会ったのもお館様の屋敷じゃない。僕の家にあまね様と来てくれたんだ。
無知な僕に沢山面白い事や楽しい事を教えてくれて、いつの日か……兄さんも僕も貴方が大好きになっていたんだ。
――――お前は天才だけど努力できる秀才だ。
――――無一郎の無は無敵の無だな!
――――無理すんな。記憶はいつか必ず戻る
――――今苦しくても良い。お前はやりたい事をしろ
――――幸せになれよ、無一郎
なんでそんな優しい言葉をかけるんだろう。忘れた人より忘れられた人の方が辛いに決まってる。
だって、屋敷で会った時……泣きそうな顔を一瞬してたじゃないですか。
「ヒョヒョ!考え事か?舐めるなよ小僧」
「………」
それでも強くなりたいと願った俺に忙しいのに稽古してくれた。
それはとても厳しくて周りから“霊柱は継子を殺そうとしてる”“不気味な霊柱は継子を呪術の実験体にしようとしてるんじゃないか?”と、あらぬ噂を流された。
違う、Aさんは止めどない怒りに燃えていた俺の“意思”を尊重してくれたんだよ。お前らなんかが僕の師匠を知ったかぶるな。
「Aさん……ありがとう。次は仕留める……」
「A……?」
思わず口から彼への感謝の思いが溢れれば上弦の鬼が何故かAさんの名前に反応を示す。
「A……ヒョヒョッ!なんだ、あの太刀川家の餓鬼は鬼殺隊に所属していたのか。」
「何故お前がAさんの事を知っている…」
「知っているも何も太刀川家には私の素晴らしい壺を売ったからな。」
独特の気持ち悪い笑い声を零しながら鬼は話を続ける。
「愉快だ。あの人間のクズを仲間に入れるとは鬼殺隊は相当人手不足の様だな。」
「……いい加減にしろよ。クズはお前だ」
Aさんはクズじゃない。
あんなに優しい笑顔を俺に向けてくれるたった一人の師匠を悪く言うな。
「ヒョヒョッ。それはお前があのクズの本性を知らないからだ。」
「本性…?」
「あぁ。あの男は齢10歳の子供の時。私の作った大きな壺の中でなぁ……」
“兄弟で殺し合いをしたんだ”
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菜穂(プロフ) - 瑠碧さん» すみません間違えて違う人にレスしてました。ピクルーのキミの世界メーカーだったと思います (2022年1月16日 14時) (レス) id: 97df43ce45 (このIDを非表示/違反報告)
マロン - 百五十五話のヘルメットって壱とかでやりすぎ都市伝説でてきてるんで今更ですよね() (2020年10月2日 20時) (レス) id: 31c3af07a3 (このIDを非表示/違反報告)
瑠碧(プロフ) - 壱から読んできました!とても面白いです!ところで、このイラストって、何メーカーさん使ってるんですか? (2020年9月5日 10時) (レス) id: 3cee96974c (このIDを非表示/違反報告)
うんうん - しのぶちゃん生きて欲しい。そして、二人の恋愛が見たい!!これは私の願望なので、決まったオチで構いません(上から目線でスミマセン)ですが!二人のそういった絡みは見たいです!! (2020年8月17日 1時) (レス) id: 0f3063d9b8 (このIDを非表示/違反報告)
ぽみぃ(プロフ) - その癖は今回は直さなくて大丈夫です‥‥とっっってもおもしろいので!!終わり方気になります!何から目線って感じですが、書きたいように書いちゃって下さい!私はそれが一番好きです!!ギャグもシリアスも最高!! (2020年8月16日 20時) (レス) id: 9044165cab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:AOI 3 | 作成日時:2020年7月23日 20時