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「何や席替えしたんか!?」
昼休み、いつものように銀島とサムと角名の教室に行くと、衝撃の事実を知った。
「うるさい」
「ほんまや、よう気づいたな侑」
「だってそこ!角名の隣Aやろ!!」
角名が座っている隣の机にかかっている大きな花柄のリュックを指差す。
俺が誕生日にあげた牛のストラップがついている。
『いつしたん!?』と問えば、『昨日の帰りのホームルーム』と、スマホをいじりながら鬱陶しそうに角名が答えた。
「は、昨日!?
おいサム、角名、何で言うてくれへんかってん!?」
自分は関係ないと言うように飯を黙々と食べているサムの肩を掴んで思いっきり揺さぶってやる。
「喧しいわ!
何でそないなこといちいちツムに報告せなあかんねん
お前は俺の彼女か」
「彼女みたいなもんやろ!!
むしろ俺たちもっと濃い関係やん!!」
「なんか意味深な発言」
「きも」
軽く貶されたが、今はそれどころではない。
俺は今日の朝、確かに誕生日プレゼントと同じ机に入れた。席替えしたとなれば、つまり、Aに渡っていない。
どうりでAが俺やサムに何も言わへんわけや。
「なぁ、そのチョコ食べへんのー?」
『あかーん!』と、机に突っ伏していると、後ろから女子の声が聞こえて来た。
「うーん、
だって誰が入れたんか分からへんのやで?
ちょっと気味悪ない?」
「ブフォッ」
「うわ、侑きたな」
タイムリーな会話に口にあったもん全部吐いた。
あかん、よりにもよって女子の机やったか。
直接悪口言われるよりもこたえるのは何でなん
「最近机に何か入れるの流行ってるのかな?
私も誕生日の時あったんだよね」
「リュックにつけとる牛のストラップやろ?
ようできるわー、なんか変なこと仕掛けられとったらどうすんねん」
「えー、それはないでしょ」
「うわ、怖なってきた。やっぱ捨てるわこれ」
「え、もったいないよ」
Aの言葉も虚しく、『いやいや、捨てた方が賢明やん?』と言う言葉とともに、笑い声が上がる。
黙って聞いていれば、随分と酷い言いようやな。
「…おい、ほんなら俺に返…ゴホン、くれや」
いきなり話しかけた俺にびっくりしたのか、目を見開いて俺を見ながらおずおずとそのチョコは無事捨てられず帰還した。
『侑ってチョコ好きだったっけ』というAの言葉には曖昧に返した。
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作者名:うめ干し | 作成日時:2020年4月17日 20時