▽.りべんじ ページ9
部活帰り。
今日もAはいないがこの前と同様、サムが腹減ったと言うのでコンビニに寄る。
やはり俺は特に買うものは見つからないので、テキトーに店内を歩き回っていると、この前Aが穴があくほど見ていた"期間限定"のチョコが目に入った。
ーーー『欲しいんか、これ』
ーーー『侑が言ったんでしょ。今日貰ったの食べなきゃだし』
そういえばあの時、サムは会計してておらんかったな。Aがこれをじぃーっと見ていたのを知らんはずや。
ーーー『私がこれ好きなの知ってるの治だけだもん』
俺しか知らんもんやったら、俺やって気づいてくれるのか
「"期間限定"チョコ買うて、女子か」
「うっさいわ！
俺やて糖分欲しなることあんねん」
「へー」
ーーー
「よー、A！元気か？」
「おはよ侑。…うん、元気だけど、どうしたの？」
朝練が終わり、Aの反応が待ちきれなくて、サムを置いてAのクラスにやって来た。
…けど、Aの様子はこれといっていつもと変わりないし、必ず律儀にお礼を言うAが、何も切り出してこない。
…おかしい。
ちゃんと今日、朝練の前にコイツの机の中に入れたはずなんやけど。
「…な、なんかええことあったん？
嬉しそうな顔しとるでー！は、ははっ」
「…そう？いつも通りだけど」
「おいツム、そこ邪魔や。どけ」
「いだっ！」
置いて行ったことを根に持っているのか、バッグで後ろからサムが殴って来た。隣に角名もいる。
…まさか、A、またサムの仕業やと思てんの
「おはよ、治、角名くん」
「おはよ」
「はよA。ツムお前これ部室に忘れとった。
送料としてプリン一個」
「…」
「ツム？」
あれ、A言わへんの？
サムにありがとーって、言うなら今やろ。
『何で言わへんのやー』と言う視線をAにじーっと送っていると、『侑気持ち悪い』と言いながら角名は自分の席に向かった。
結局Aは友達に呼ばれて、サムに何も言うことはなくそっちに行ってしまった。
「…はよ持てや」
「いだっ！」
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作者名：うめ干し | 作成日時：2020年4月17日 20時
