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及「ねっ、Aちゃんいた！？」
ある日の昼放課。
新学期が始まり、沢山の部活が新一年生を勧誘しようと学校中が騒がしかった。
及川達はというと、噂のAをマネージャーに勧誘しようと、Aの教室をドアからのぞいていた。
岩泉は及川に半ば強制的に連れてこられていた。
『居たか』と聞かれても、名前はついさっき聞いたばかりで顔も見た事がないのだから、わかるわけないだろクソ川。
と、岩泉は心の中で罵倒する。
岩「どうせ無駄だろ、女バレに入るんじゃねーの」
及「そんなの聞いてみなきゃ分かんないじゃんかっ」
岩「ほら、帰るぞ」
及「あだっ、ちょ岩ちゃん！…あ！！」
岩泉は面倒くさそうに及川のシャツの襟を掴んで踵を返すと、及川は途端に大きな声をあげた。
及川の視線を辿ると、そこにはシワ一つない制服を着た小柄な少女がいた。
及「あの子！風間Aちゃん！」
腕を岩泉の肩に回して、耳に唇を近づけ、本人に聞かれないよう小さな声で言うと、及川はそのAに近づいた。
岩泉は面倒くさいと思いながらも、及川がAに何をしでかすか分かったものじゃないので、仕方なく及川の後について行った。
及「ねね、Aちゃんだよね？
部活何に入るの？もしよかったらウチに…」
岩「まず名乗れよ」
及「痛いよ岩ちゃん…」
Aに近づくや否や、早速本題に入ろうとする及川に岩泉は固く握った拳で及川の頭を叩き、口を挟んだ。
『もう…』と口を尖らせて叩かれてジンジンするところをさする及川に、Aは口を開いた。
「及川さん、ですよね？知ってます」
及「ほーらね！岩ちゃん
及川さんは岩ちゃんと違って有名人だから名乗ならなくてもいいんだよっ！」
岩「…あ？」
Aの一言に調子に乗った及川は、馬鹿にしたような笑みを浮かべて岩泉にそう言った。
すかさず岩泉が眉を寄せたのを見て、及川はそのふてぶてしい顔をやめて、Aに向き合った。
及「よし、それなら話が早い。
ウチ、マネがいないんだー、だからさ…」
「すみません、私、バレーを続けるつもりはないので、他をあたってもらえますか？」
及川が最後まで言い終える前に、Aはそう言って軽く会釈をし、教室に入っていってしまった。
及「…なんで？」
岩「…さぁな」
女子にそんな態度を取られるのは烏野のマネ以来で戸惑っている及川に、岩泉もまともに返すことができなかった。
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作者名：うめ干し | 作成日時：2018年10月9日 18時
