天才リベロの顔見知り ~ANOTHER STORY~ (ページ12)

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◯.１１ページ12

及「ふんふふーん」

青葉城西高校男子バレー部部室で、先ほど大事な用件をいい結果でやり終えた及川はご機嫌に鼻歌を歌いながら部活のユニフォームに着替えていた。

岩「…おい」

そんな及川とは対照的に、隣で着替えていた岩泉が、眉にしわを寄せて言った。

岩「あんまりAに無理させるんじゃねーぞ」

いつか及川がオーバーワークをした時のようにいつもの調子で言う岩泉に、及川は深いため息をついた後、鼻で笑うように言った。

及「そんなことより岩ちゃん、俺に他に言う事あるんじゃないの」

岩「…あ？」

及「ご、ごめんって岩ちゃん!!!!
そんな眉間にシワ寄せないで!!!」

人差し指を立てて、顔の近くでそれを腹ただしく振る及川に、岩泉は威嚇の意を示した。

この様子だと、全く自分の気持ちに気付いていないようだと及川はこめかみを押さえた。

我の相棒ながらものすごい鈍感さだ。

岩泉がいつもの顔に戻ると、及川はまたからかい顔になった。

及「まぁでもね岩ちゃん、岩ちゃんはもうじき俺にお礼を言いたくてしょうがなくなるよー」

そう言ってジャージのファスナーを首元まであげた及川は、ご機嫌そうにさっきの鼻歌の続きを歌いながら部室を出て行った。

岩「…絶対言わねェ」

部室に一人残された岩泉は、及川が何を言っているのかさっぱりな様子で背中を見送った後、

この先何があっても及川にお礼は言わないと心に誓った。

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