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及「ねっ、岩ちゃん、
風間Aちゃんって知ってる?」
岩「…知らね」
二つ上の三年生が引退したある日の部活終わり、部室で制服に着替えていると、及川が嬉しそうに岩泉に話しかけた。
何かと思えば、それは女子の話で。
最近、目をつけた女子の名前なのか、若くて可愛らしい芸能人なのかは知らないが、興味がないのでそう返した。
及「この子ね、凄いんだよ!
中学の時にベストリベロ賞取って、日本代表に選ばれてんの!」
岩「それは、すげぇな」
及「でっしょ!?」
岩泉の予想は外れ、その子はバレーの子だった。
"日本代表"という誉れ高いワードに、岩泉も少し興味が湧いたのか、感心したようにそう言ったのを、及川は嬉しくなった。
岩「それで、その子がどーしたんだよ」
及「ふっふっふ、実はねぇ、
なーんとこの子、ウチに来るんだって!!」
岩泉が問いかけると、及川は待ってましたと言わんばかりに笑みを浮かべて、両手を広げて言った。
岩「…青城にか?」
及「そ!」
日本代表にも選ばれてるくらいなら、それなりにその子はバレー界では有名なのかもしれないが、どうしてそんな個人情報を及川が知っているのか、少し気にかかった岩泉だった。
が、そこはあえて聞かない事にした。
そんな事よりも、一つ気になることがあった。
ウチの高校は、男子バレーだったならば強豪と呼ばれているのだが、女子はそこまでではないのだ。
日本代表に選ばれるほどの実力があるのなら、なぜこんなところに進学するのだろう。
及「ずっと会って見たかったんだよねー
結構可愛いんだよー、やっぱ、女バレに入るのかな?」
岩「まぁ、そうなんじゃねーの」
及「えぇー、及川さん、マネに誘ってみようかな
ねっ、岩ちゃんも一緒に勧誘しようよー」
結局は話がそっちの方に行ってしまう及川に呆れ、先に着替え終わった岩泉は部室を後にした。
及「ぇ、ちょ、岩ちゃん待って!!」
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作者名:うめ干し | 作成日時:2018年10月9日 18時