手を握って (ページ5)

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3話ページ5

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深｢......A？｣

不思議そうな、辰哉の声が聞こえた

今話したら心配をかけてしまいそうで｢ん〜？｣といつものように返事をして荷物を置きに顔を逸らしながら素通りする

荷物多いて戻ろうとすると、近くにいた佐久間に腕を掴まれた

佐｢.....待って、A顔色やばい。｣

｢...佐久間。｣

手を離して、と目で訴えかけると首を横に振られる

どうしよう、いらない心配をかけてしまうかもしれない

そう思うとまた手が震えて呼吸が浅くなる

阿部｢A...！？体調悪い？どうしたの？｣

みんなが集まって来て俺の顔を覗き込んでくる

焦っている俺は｢ごめん、｣としか言えなくて思わず座り込む

大丈夫って言いたいのに、言いたいことが言えない

みんなが困惑しながらも背中をさすってくれたり声をかけてくれた

目をつぶって呼吸を整えようと頑張るけれど手に震えも収まらなくて怖くなる

岩｢A、大丈夫だから。俺の声聞こえる？｣

｢っ、ひかる、.....て、｣

岩｢.....手？｣

｢っ手、ぎゅってして、｣

焦点の合わない目でぼんやりと見つめながら必死に話す

あの時は握ってくれる人なんていなかった

でも、今は大丈夫。

手を握ってくれる人も、抱きしめてくれる人もいる。

そう自分に言い聞かせて目を閉じた。