#8.驚きと呆れという話。 ページ10
午前10時。私は相変わらず、書類を作っていた。残り、あと9項を制作しなければならない。
私が軽くどっしりと重い自分の肩を摩ると、誰かに背中を摩られた。
目を開いて、後ろを振り向く。そこには五条さんが居た。
「…………A。」
『………大変驚きました。こんにちは、五条さん。』
背中を触る彼の手を無理矢理取り、椅子から立ち上がった。
私は彼に言わなければならないことがある。
『まだ女性と関係を持っているようですね。はっきり申し上げますと、失望しました。さようなら。』
「待って、違う。」
『……は?』
この人は、この期に及んで何を言っているんだ。心の芯が熱くなって、私はポールペンで彼の耳を目掛けて刺そうとした。が、当然無下限呪術で止められる。
「ねぇ、そんなに僕が嫌いなの?嫌だよ。」
『それはこちらのセリフです。貴方は私が嫌いですか?今まで浮気癖が治ったことは無いでしょう。ふざけているのでしょうか。』
自分でも驚くほど口が回った。拳を強く握って、デスクを殴る。力を込めて殴った場所は大きくひしゃげている。
『…もう、終わりなんですよ。私と貴方にとって、付き合っていた三年間は全て無駄になったんです。分かりますよね。』
「えっ、やだ。嫌だよ、A。」
五条さんの震える手が私の手を包み込むように握った。私よりもひとまわり、ふたまわり大きい身長の彼の背は怒られた犬のように曲がっている。
「ねぇ、お願いA。僕、全部治すから。だから……わ、別れないで。お願い。」
そう言って五条さんは私の目の前で自分のスマホを握った。パキ、パキと圧をかけていく五条さんの拳にスマホは耐えきれず、ついに割れた。
唖然としている私に、五条さんは通帳と印鑑、そしてカードの入っている財布を押し付けてきた。
『これは…?』
「ねぇ、一週間だけでいいから側にいて。その間にまた女を抱いたって分かったら、それAが使ってくれていいから。お願い。」
私はこの時、本当にどうかしていたのだと思う。
『……わかりました。仕事の関係者以外の方と一緒に歩いたり、寝たりしたら即別れます。
それでいいですね。』
だって、馬鹿げている彼の提案に頷いてしまったのだから。
#9.忍耐力と厄介という話。→←#7.浮気相手を無視するという話。
3377人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆず - すごく面白かったです!五条先生のキャラ大好きです!!可愛い、、。。これからも頑張ってください!楽しみにしてます。 (2021年8月27日 10時) (レス) id: 1d00ea1521 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - やったー!!!終わってなかった!めっちゃ嬉しいです!!これからも少しずつでもいいので更新していただけると嬉しいです!! (2021年7月7日 18時) (レス) id: d584864077 (このIDを非表示/違反報告)
カリム - ああ、もう可愛いに尽きる!でも、実際のメンヘラってこんなんじゃないからなー…。 (2021年5月9日 20時) (レス) id: 5e613c85e2 (このIDを非表示/違反報告)
メダカ - 完結とは? (2021年3月27日 0時) (レス) id: 62c4138a68 (このIDを非表示/違反報告)
あみん(プロフ) - お、終わり…!?続き待ってます…!!(;_;) (2021年3月21日 11時) (レス) id: ace2dffc29 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:のあ猫 | 作成日時:2020年12月20日 17時