#5.後輩と社畜という話。 ページ6
翌日。私はいつものように出勤し、自分のデスクに着いた。ため息を吐いて椅子に座り、携帯をデスクの上に置くと、ピロンっとスマホがなった。
スマホを見ると、また五条さんからメールが届いていたようで、画面には全90件と、頭の痛くなるような数のメール数が書かれていた。
『………はぁ。』
「また具合悪そうっすね、Aさん。」
『おや、新田さん。』
声からして後輩の新田さんが私の肩を軽く叩き、こんにちは!と元気のいい声が聞こえてほんの少しだけ微笑んでみる。
後ろを振り向くと、笑顔の新田さんが私を見ていた。
「Aさん、今日も可愛いっすね。」
『ありがとう、新田さん。はい、仕事。』
「わーっ!多いっす!」
これでもまだ足りないが、今日の新田さんの分の書類を大量に渡した。「貴方なら大丈夫」と言ってみると、新田さんは何かを叫んで車のキーと携帯と書類を持ち、事務室を出ていった。
静かになった室内で息を吐き、私はノートパソコンを立ち上げた。
『高専内の建物の修復。現在未登録の特級呪霊の確認及び登録。来年の補助監督試験監督官への書類。現在確認している呪詛師の情報及び現在の活動場所。』
今私が口にしたのは、やらなければならない仕事のほんの一部だ。
補助監督は任務の補助、そして“帳”を下ろし、任務後の事後作業をすることだけが仕事ではない。
来年の補助監督試験の試験監督官に対して様々な書類を提出しないといけないし、来年の交流会のおおよその日程予定を学長に提出。その他諸々。
スケジュール帳は任務の補助や会食、そして五条さんの運転手の予定がびっしりと詰まっていて、読む気が起きない。
『(…いつまで、こんな暮らしをしているのだろう。)』
五条さんと別れてから、ずっとそんな事を思っている。あの人の事が嫌いという訳じゃない。むしろ好きだ。だが、やはり。
『浮気癖は、治ってないんだろうな。』
それが気がかりだった。
欲を言えば、浮気して欲しくない。私に一途になって欲しい。私だけを愛して欲しい。だが、そんな我儘を言えるほど私は強欲じゃない。
『…辛い。』
一人きりの事務室内で、私はそう呟いた。
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ゆず - すごく面白かったです!五条先生のキャラ大好きです!!可愛い、、。。これからも頑張ってください!楽しみにしてます。 (2021年8月27日 10時) (レス) id: 1d00ea1521 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - やったー!!!終わってなかった!めっちゃ嬉しいです!!これからも少しずつでもいいので更新していただけると嬉しいです!! (2021年7月7日 18時) (レス) id: d584864077 (このIDを非表示/違反報告)
カリム - ああ、もう可愛いに尽きる!でも、実際のメンヘラってこんなんじゃないからなー…。 (2021年5月9日 20時) (レス) id: 5e613c85e2 (このIDを非表示/違反報告)
メダカ - 完結とは? (2021年3月27日 0時) (レス) id: 62c4138a68 (このIDを非表示/違反報告)
あみん(プロフ) - お、終わり…!?続き待ってます…!!(;_;) (2021年3月21日 11時) (レス) id: ace2dffc29 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のあ猫 | 作成日時:2020年12月20日 17時