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#4.憂鬱と運転手という話。 ページ5

私は酷く憂鬱な気分だった。

『……』

五条悟に関わった補助監督なら一度は経験しているだろう。伊地知君や私の場合は数え切れないほど経験しているが、それは五条さんの我儘によって無理矢理やらされている運転手だ。
伊地知君と私の場合、ほとんど毎日やらされている。いつかパワハラで訴えてやろうかと思っていた。
そして、これの何が憂鬱かというと、

『…………』
「A、電話出てよ。メールも返信してくれなかったし。ねぇ、A。」
『五条さん、少し静かにしていただけますか。このままだと事故を起こしかねませんので。』

未だに面倒臭い五条さんへの対応だった。
伊地知君の時はいつも後部座席に座っているのに、私の時はいつも助手席に座っている。そのため距離が近く、何より両手でハンドルを握っているため、五条さんを引き剥がすことが出来ない。つまりは強引な手段で会話を止めさせることが出来ないのだ。

「“五条さん”って何。いつもは“悟さん”って呼んでるでしょ。」
『別れていたと思っていたんですが、私の勘違いでしょうか。』
「は?」

しまった。私は今、返答を間違えた。
静かに冷や汗をかき、ハンドルを持つ手が汗ばんできた。

「別れてないよ。次に別れるなんて言ったら、僕死ぬから。」
『……死なないでくださいよ、貴方は呪術界にとって重要な方なんですから。』
「そういう事じゃないよ。」

どくん、どくん、と心臓の音がダイレクトに聞こえる。
すると、いつの間にか五条さんの家であるマンションの前に着いた。

『五条さん、着きましたよ。』
「やだ。A。Aも行こ。」
『……嫌ですよ。私は戻りません。
貴方の浮気癖が治らない限り、よりを戻すつもりはありませんので。』

「出ないなら無理矢理出しますね」と、車から降りた私は助手席のドアを開け、五条さんの首根っこを掴んで勢いよく車外へ出した。

「な、A。」
『…貴方のこと、別に嫌いでは無いですよ。ただ、浮気をされるのはとても嫌なんです。分かってください。でなければ、一生口を聞きません。さようなら。』

助手席のドアを無理やり閉め、アクセルを踏んだ。

#5.後輩と社畜という話。→←#3.執着と私情という話。



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ゆず - すごく面白かったです!五条先生のキャラ大好きです!!可愛い、、。。これからも頑張ってください!楽しみにしてます。 (2021年8月27日 10時) (レス) id: 1d00ea1521 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - やったー!!!終わってなかった!めっちゃ嬉しいです!!これからも少しずつでもいいので更新していただけると嬉しいです!! (2021年7月7日 18時) (レス) id: d584864077 (このIDを非表示/違反報告)
カリム - ああ、もう可愛いに尽きる!でも、実際のメンヘラってこんなんじゃないからなー…。 (2021年5月9日 20時) (レス) id: 5e613c85e2 (このIDを非表示/違反報告)
メダカ - 完結とは? (2021年3月27日 0時) (レス) id: 62c4138a68 (このIDを非表示/違反報告)
あみん(プロフ) - お、終わり…!?続き待ってます…!!(;_;) (2021年3月21日 11時) (レス) id: ace2dffc29 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のあ猫 | 作成日時:2020年12月20日 17時

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