蜘蛛の巣を踏み抜く ページ7
ai「……ボクたちは、何をするの?」
『……"殺す"、と言ったら?』
ai「殺せないことくらい、分かるでしょ」
『知ってる。だから、殺さない。私は殺さない程度に中の人間を無力化するから、貴方は中のセキュリティを乗っ取って』
ai「任せてよ」
《ミト、私のナビゲートは必要ないわ。アイラとライのバックアップを》
mt〈了解しました〉
それじゃあ。
《作戦、開始》
迷い込んだモルフォ蝶のように優雅に、背を合わせて薄暗い地下へと降り立った。視界内には、既に4人の敵が見える。
『アイリ』
ai「ん」
グラスホッパーを駆使して稲妻のようにアイリが駆け出す。
その間、不意打ちの回し蹴りと脇腹への肘鉄で2人を沈める。相手を認識した敵の1人に掌底を食らわせ、もう1人には膝蹴りを入れてそのまま投げ飛ばした。
アイリもセキュリティルームを見つけ出したようで、室内を制圧したようだった。
私がやれることは、できる限り撹乱して目立つこと。
ちょっと専門外なところはあるけど……でも、適任は私だ。なぜなら…
『私が1番躊躇なく、あんたらをボコボコにできるからだ!』
「警報を鳴らせ!侵入者だ!」
『させるか!』
拳が顔面にクリーンヒットし、相手が沈む。もう7人目。
「ヒッ…!化け物…!」
『蹂躙の時間だ』
「やめ……」
『あぁ、君も耐えられなかったか』
SEも使って相手を怯ませる。怖気付いた相手はそのまま泡を吹いて気絶してしまった。
数分後、ミトからひとらんさんの生存を伝えられた。安堵したのもつかの間、奥に地下2階への階段が見えた。
ここで戦闘していては、脱出ルートと被ってしまう。分かれ道の少し奥に押し込まなければ……
そう思っていた矢先、後ろからも気配を感じた。
『…!?』
一目見ただけで分かる。あいつはトリオン体…トリガー使用者に間違いない。
だが、なぜここに。
考えを巡らせた僅か0.2秒、その瞬間に無数の糸が飛んできた。
なるほど、捕獲要員…トリオン体の有無を問わず、敵将を捕獲することに特化した人材、トリガーか。
そう判断して、糸を回避していく。
しかしながら、狭く暗い室内で全て回避するのは難しく、細かい糸が時々刺さるのを感じる。
それは、僅かだが確実に動きを鈍らせてきていた。
((…面倒だな))
「随分手こずらせてくれますね」
『それはどうも』
「ですが……」
糸が、僅かな光を反射する。
「終わりです」
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作者名:青緑柱石 | 作成日時:2021年12月6日 1時