黒蝶 ページ5
外に出ると、蝶がふわふわと寄ってきた。
ついてこい、と言うことだろうか？
ゾムと手を繋いで、蝶について行った。
『着かない』
かれこれ3時間ほど山道を歩いたが、一向に着く気配がない。
果たして合っているのか？
と、その時、隣を歩いていたゾムが足を止めた。
「なぁ、あれって」
『鳥居…？』
目の前に、蝶で埋められた鳥居らしきものがあった。
あまりに異様な光景に、口が塞がらなかった。
「…えぇ？」
『…あ』
刀に手をかけて、一閃。
何かが裂けて、強い風が吹き荒れた。かと思うと、美しい、神社の境内が現れた。
足元は真っ白な石畳の道がひかれ、庭にはこれまた白い玉砂利が敷かれている。崩れ落ちそうだった本殿は丈夫かつ優美としか言えない。繊細な装飾がありとあらゆる所にある。
鳥居は後ろにあり、蝶は1匹もいなかった。
そのかわりというべきか、辺りを蝶が遊ぶように飛び回っていた。
特筆すべきは、空。
朝焼けのまま、動かないのだ。
まるで、時が止まっているような＿＿
「来たか」
本殿から、老人の声が聞こえた。
出てきたのは、以前、連続殺人事件を起こした、老いた男性だった。
「お前…！？」
「若造。言葉には気をつけなさい」
「！？」
不思議な力で話せなくなっているようだった。
『ゾム…！』
「娘」
『！』
「ここに来たということは、真実を知るということ」
『真実…？』
「お前が何故それを扱えるのか。そして、お前が何者かということを、お前は知ることになる」
『…成程ね。私がこの刀を扱える理由が、ちゃんとあるのね』
「当然」
『…分かった。聞くよ、その話』
「ふむ、やはり。立ち話には長い、着いてきなさい」
『分かった』
ゾムの手を引いて、本殿へと入っていった。
ちゃぶ台の上にお菓子、それと3人分のお茶。
おかしな空間でなければ、寛げる空間だった。
「…どこから話したものかね」
私達は、老人が話し始めるのを待った。
「…時は、数千年後の未来にゆく」
『すごい未来』
「その時、地球はほとんど滅びかけていた。物理的にな。」
『物理的に？』
「簡単に言うと、太陽系から外れた」
『「…えぇ！？」』
「いや、え、でも今は全然滅びとらんし…」
『…続きを』
「うむ。当時の地球は氷に閉ざされ、活動出来るのはほんの数名の、加護を受けた人間、加護を授けた少女、それと少しの植物だけだった」
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青緑柱石(プロフ) - 更新滞ってるけど許して…許して… (2021年5月3日 10時) (
レス) id: 376185607b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青緑柱石 | 作成日時：2021年2月21日 13時
