悪夢は永遠に終われない ページ2
先程からずっと聞いているのだが、どうにも情報が錯綜しているのだ。
例えば、「犯人は2メートルを超えるような大男」だったり、「派手な髪色をしている」だったり…
これはまだ1例に過ぎなくて、犯人に関しても、現場に関しても、被害者に関しても、情報に共通点も関連性も無い。
しかし、たった1つだけ一致した所があった。
なんでも、姉を探しているらしいのだ。
そんな感じで呟くと、ゾムが軽く笑って、「アイツが聞いたらどんな反応するんやろな」と言っていた。
アイツって誰ですか…
夜。
市街地を海の方、南西へ抜けたところ。
周辺には、今日の仕事を終えた工場が1つだけあり、それ以外には住宅は無く、ただ砂防林だけが広がっている。
工場から出てきた最後の1人に向かって、人影が飛びかかった。
「な、だ、誰だ！？」
「お姉ちゃんの居場所、知らない？」
「姉…！？」
「ね、早く。3秒以内に言って。さーん…にーぃ…」
「言う！言うから！！命は！！」
「へぇ。どこ？」
「向こうだ！」
そう言って、男は南を指さした。
「へぇー、そっちに…嘘つき。」
「何を…ひ、ひぃぃ…う、ぐぁ…ぁぁぁあ！」
「私あっちから来たもん。見失うわけないじゃん…あ、もう話せないの？」
「……」
「はぁ。手がかり無しか。」
『…ユズハ？』
「…？こっちから、お姉ちゃんの声がした気がする」
『…』
Aは、ただただ困惑していた。
探していた妹は、最も望まない形でそこにいたのだ。
「うーん」
妹は、こちらに向かってふらふらと歩いてきている。
彼女は、刀を持ちながらも、淡い期待を捨てられずにいた。
『…ユズハ』
「…お姉ちゃん！探したんだよ！」
『ユズハなんだよね…！』
「そうだよ！ずっと…ずーっと探してたんだから！」
どちらからともなく抱きしめ合い、再会を喜んだ。
かのように見えた。
少し離れて見ていたゾムは、ユズハの手に握られた注射器にいち早く気がついた。
そして、それは、あろう事かAに突き立てられようとしていた。
咄嗟に飛び出し、手を払い除ける。中の液体が、多少零れた。
『！？』
「…あーぁ、良いところだったのに。なんで邪魔するのさー」
「許すわけないやろ、あんなん」
「…ふふふ、あー、初めて。…あぁ、憎い、恨めしい、羨ましい！！あはは！！私が憎いアイツらを殺す間に、お姉ちゃんは良い人を見つけてたんだね！！」
空気がひりつく。呟くように、彼女は告げた。
「消えて、お姉ちゃん」
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青緑柱石(プロフ) - 更新滞ってるけど許して…許して… (2021年5月3日 10時) (
レス) id: 376185607b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青緑柱石 | 作成日時：2021年2月21日 13時
