迷い ページ29
「出港かぁー。」
ボ「いやぁ〜楽しい訓練だったぁ。」
サ「どこがじゃ。結局こいつの事はなんも分からんかったじゃろうて」
謎を明かすためにこの一週間面倒でも張り付いとったっちゅうに
知れば知るほど謎が増えたこの女
確かに悪い奴ではない事は分かる
じゃけぇ、正体が分からんのも事実じゃ
「退屈になるなぁー」
ボ「海兵になればいいのにねぇ？」
「だからー。それはヤダってぇ」
サ「このままずっとここにおるつもりか？」
「んー…そうだね…うん。私はそのつもり」
サ「？迷うくらいなら海兵になればええじゃろ」
「え？何言ってんの、サカズキ」
そうすりゃぁこいつの実力もよう分かる
ついで言えば監視もできるんじゃ、かまやせんじゃろう。
が、なんじゃ？
キョトンとした後笑いおって
サ「なんか文句でもあるんか」
「ふふ。文句じゃないよ、ただね。こんな気持ちでは
余計になれないよ」
ボ「んー？それはどういう意味だぁい？」
「そのまんま。…迷いのある剣なんて誰も守れやしないのさ」
サ「…」
「それに。今の私には本当に守りたい者がなんなのかも見えちゃいないの。おばさんは守るけどね」
ボ「へぇ？」
「そんなの邪魔でしょ？早死するわ」
迷いのある剣…のう
この一週間見てふと思う事がある。
こいつは時々、ここではないどこかを見つめる事があるっちゅう事じゃ
サ「ならその迷いが晴れれば海軍に入るんか？」
「分からないかな。少なくとも、今の私には無理。」
サ「そうけぇ。」
ボ「(今の？)まぁ、入ってもらった方がわっしらにはいいけどねぇ」
「私いないと寂しい？」
ボ「実力があるから勧誘さぁ」
「そっか…」
…。
またじゃ。
またここではないどこか遠くを見とる
気に入らんのう、今はわしらが話しとるんじゃろうが
サ「お前に1つ言っておくぞ」
「んー？」
サ「わしはお前を海兵に引き込んじゃる」
「私を？」
サ「ふん。手元で監視できるからのう。忘れるでないぞアホ女」
「…なにそれー(笑)名前呼んでくれないから忘れた」
ボ「呼んでやればいいのに。頑固だねぇ？」
サ「ふん」
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作者名：あつやき玉子 | 作成日時：2022年10月1日 22時
