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ふわりと高く飛んで綺麗にボールをミートする。
着地よりも先に相手コートに落ちたボールは
力強く跳ねてギャラリーまで飛んでゆく。
「しゃーー！」
大きくガッツポーズをしたマサさんと、
その向こう側で悔しそうに頭を抱える祐希。
2人の姿が同じ場所で見られるこの幸せを、
どんな言葉で表現したらいいのか分からない。
「そろそろ練習終わるから今日のデータまとめとけよ」
呑気にあくびをしながらそう言った駒場さんは、
珍しく小走りなんかをして監督の元へと走っていった。
9:00から始まった練習もお昼を挟んで18:00には終わる。
終わったあとに自主練をする選手もいれば、
終了の合図と同時にダウンを始めて早めにあがる選手もいる。
「ちょA」
明日のチーム分けはどうしようか、
技術で分けるか今日の調子で分けるか、
なんて小難しいことを考えていると関田さんが私を呼ぶ。
『あ、関田さん おつかれさまです』
「あうん、おつかれさまはいいんだけど」
人目を気にするようにキョロキョロと周りを見回して
耳元で小声でつぶやく。
「お前マジでどうなってんの、なに？
三角関係どころか五角関係くらいになってない？」
五角関係、という響きが
あまりにも面白くて吹き出す私をよそに関田さんは続ける。
「ちょマジ笑ってないで早く説明してほんとに早く」
『なんで関田さんがそんなに慌ててるんですか』
「ちょっと考えれば分かるだろうが」
全員に相談持ちかけられてるからに決まってるだろ、と
半分泣きそうな顔で言った関田さんは、
祐希に呼ばれてあっというまに私の隣から消えていった。
泣きたいのはこちらの方だと言いたかったけど、
選手と不必要な会話をしていたら
今朝駒場さんが言った通りになってしまうと思って
急に不安になった私は台詞を心の内に留めておいた。
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作者名：Pima | 作成日時：2022年6月8日 14時
