最期まで名前を呼んで【Ryosuke】 (ページ19)

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涙色ページ19

Asaid

病室に入ってきた君は全然あたしの存在に気づいてくれない。

そして入ってきてそうそう大きなため息を君はこぼした

涼介「はぁ…」

『なんとため息だよ！』って突っ込んであげたかったかどそんなことは出来なかった

_だって君が悲しそうな目をするから

でもあたしはいても経ってもいられなくなって声をかけてしまった

A「な～にため息ついてんの。幸せ逃げちゃうよ？笑」

病室の入り口付近にいた君はどこから声がするのか探しているのかわからないけど
辺りをずっとキョロキョロしていた

「辛気臭い顔しないでよ！
手術成功したって聞いたよ？おめでと」

そしてゆっくりあたしの方へ近づいてきた

涼介「は…へ？」

アホみたいな顔をしてる君にお腹を抱えて笑いそうになったのはここだけの秘密ね

A「あははっ！涼介ってほんと面白いね笑
おかえり、涼介」

あたしが今君に1番伝えたい言葉
『おかえり』

君はそれに応えるように
涙を流した

あたしはこの短い人生の中でいちばん綺麗な涙だった

A「何泣いてんのよ。泣かないでよ笑」
泣かせたつもりは無い。
泣かせたかった訳でもない。

ゆっくりと君はあたしに近づいてあたしをぎゅっと抱きしめた

初めはびっくりしたけどなんか君の温もりが暖かく感じて安心した

涼介「心配させんなばーか」

きっとこれが君なりの『ただいま』の言い方なのだろう
不器用な少年の君はきっとこれから先も変わらないだろうね

A「バカは余計でしょ？
ごめんね、涼介。ありがとう」

あたしも君に伝えるよ『ありがとう』

ゆっくりと君の腰に手を回し
あたしの頬にもゆっくりと涙が流れてきた