告白その22 ページ23
*
「今日も疲れたねー」
「あぁ」
轟くんと共に学校を出る。
まぁ、ヒーローになったらもっと大変だろうけど。
伸びをしながらふと校門の方をみると、見慣れた後ろ姿があった。
あれは………
「ごめん轟くん、先に寮に帰っててくれる?」
「どうしたんだ?」
「私も…前に進まなきゃいけないみたい」
もう一度、昔のように寄り添う両親の姿をみた。
*
「何しに…来たの?」
2人の後ろ姿に、いや、母の背中に語りかける。
すると、ゆっくりと2人が振り返った。
「A、元気にしてるか?」
微笑む父に小さく頷く。
母は、少し気まずそうに私から目を逸らしていた。
父が母の背中をポンっと叩く。
「A…あのときはごめんなさい」
私をしっかりと捉える母の瞳。
その瞳が、どんどん潤んでいく。
「私はあのとき、あなたになんの特技もないと勘違いして…あなたの将来が不安だったの」
震える母の声。
「周りから、あなたとお姉ちゃんを比べる声が増えた。私はそれが嫌だった。どちらの子供も、私の大切な娘だってこと、みんなにわかってほしかったの。だからあなたにお姉ちゃんを超えるものを、何か一つでも作って欲しかった」
目の前の母は、私から目をそらすことなく、涙を流しながら言葉を紡ぐ。
「だからって、あんなことしたのは間違っていたわ。本当にごめんね」
気がつくと、私の頬にも涙が伝っていた。
「でも、これだけはわかって………。私はあなたを愛してる」
嗚咽が漏れる。
涙がとめどなく溢れ出た。
「体育祭が終わったとき、本当は伝えなきゃいけなかったの。でも私には勇気がでなかった。でも、林間学校の事件を聞いて、いてもたってもいられなくて」
遅くなっちゃつてごめんね、と涙を拭う母。
「今日は、それを伝えに来ただけだから…」
そう言って私に背を向ける母の腕を掴む。
なんだか、ぐちゃぐちゃだ。
心の中がぐちゃぐちゃ。
でも…
「お母さん、今からお茶、しませんか?」
私のことをちゃんとみてくれたお母さんと。
もう少し、一緒にいたい。
*
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婾纚儺 - ほっこりホコホコ (2018年12月2日 8時) (レス) id: abf7718af2 (このIDを非表示/違反報告)
れの(プロフ) - メダカさん» ほっこりしていただけたのならとても嬉しいです!コメントありがとうございます! (2018年8月25日 22時) (レス) id: 6cc8b71c99 (このIDを非表示/違反報告)
メダカ - 番外編も可愛かったぁ〜(*´∀`*)ほっこり(*´`*) (2018年8月25日 18時) (携帯から) (レス) id: 238af52e71 (このIDを非表示/違反報告)
れの(プロフ) - 杏さん» わかりにくくて申し訳ありません!もともと急須にお茶が入ってて、その急須に入っているお茶をティーカップに注いでいるという状況です。 (2018年8月21日 10時) (レス) id: 6cc8b71c99 (このIDを非表示/違反報告)
杏 - 急須にお茶いれてるんじゃなくて、ティーカップなんですか?? (2018年8月21日 9時) (レス) id: 664b772586 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れの | 作成日時:2018年8月19日 21時