鏡の国のティーパーティ (ページ41)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:16,384 hit

夢という鎖ページ41

ウェンディ「ピーター！ピーター！来るって、迎えに来るって言ったじゃない！」

大きな声で叫ぶ。

ウェンディ「もう待てないわ！あの嘘つきッ！」

ものすごい煙をあげながら火山が噴火している。
S.E.A.と呼ばれる機関が溶岩コントロールステーションを作っているから流れてこないものの、今にも流れてきそうなほどだ。

HK「ウェンディ、久しぶりだな。」
ウェンディ「誰…？」

知らない声が聞こえる。

HK「ひどいな、覚えてないのか。私だよ、ホックだ。フック船長の船の女海賊。」
ウェンディ「あ、あなた…！何しに来たの…？」
HK「そう怖がるな、何もしないさ。」
ウェンディ「人は裏切るものよ。」
HK「なぜ？」
ウェンディ「ピーターは約束を破ったもの。」
HK「…ウェンディ、私と取引をしないか？」
ウェンディ「何？」
HK「怖い夢を取り払ってあげよう。その夢をそのまま私にくれないか？」
ウェンディ「怖い、夢？」
HK「今のお前は夢を見続けた状態だ。そのピーターが来ない夢から覚ましてあげよう。」
ウェンディ「本当に…？私は夢を見てるの？」
HK「きっとな。現実に引き戻してやる。」
ウェンディ「分かったわ。」
HK「ここに、サインを。」

サインされた契約書は水の泡になって消えた。いや、姿を消した。

HK「さあ、ジャック、後は頼んだ。君が彼女をご案内してくれ。」
JH「はぁー。分かった。こんにちはお嬢さん。僕とまずトランプをしてよ！」
ウェンディ「え、ええ。」

楽しそうにトランプをする少女。
その椅子にはいつのまにかリンゴの木が絡みつき、徐々に少女の足にまで絡みついていた。

ウェンディ「あら、あれっ⁈足が、動かないわ！」
JH「はぁあ。気がついちゃったよ。下手くそだね、本当にうどの大木だよ。」
ウェンディ「どういうこと⁈」

ふっと後ろを見る。今までいなかったはずのホックが話しかけてきた。

HK「さて、ウェンディ。君が今見ているのは夢だ。その目の前の男が見えているならな。」
ウェンディ「そこにいるじゃない、なにを言って…！！」

目の前の男は消え、テーブルの上にあったはずのトランプは消えている。少女には夢か現実かわからない。

ウェンディ「嘘…嘘よ！ピーターは、ピーターは来るって言ったもの！」
HK「ウェンディ、現実を見ろ。」

HK「お前の夢は、もう、叶わない。」
ウェンディ「あぁ、あ、ぁああ」
HK「夢にすがっていては人間は成長しないんだ。」

現実を見失った少女の夢という束縛を切った時、彼女は消えた。