蛸と彼女〜後〜 ページ36
「ふぁ〜ぁあ。眠い。」
EF「ハァ？大した魔力も使ってねぇのに？」
「んなこと言ったって眠いのは眠いの。」
手元にあるトライデントをへし折る。ぽろっと落ちてきたアトランティカの形をしたブローチ。こんなものトライデントについてなかったのだが。
「んー。眠い…あ、これ、ダイヤモンドだ！」
EF「いきなりでかい声出すなよ！」
「だってこれ、宝石だよ？」
EF「ん…？こいつ、魔力が入ってやがる。」
「へぇ。アリエルの遺品かな。」
EF「遺品って言い方はねぇだろ。持ってくか。」
「そーだ。さっきはごめん。ナイフなんてもの突きつけて。」
EF「…。別にいい。あぁしなきゃアイツも死ななかったんだろ？俺はいいもの見れたからいいんだ。お前の殺気なんてレアすぎたからな。目の前でアースラ様に怒られてる気分だったぜ。」
素晴らしい笑顔で怖いことを言う。アースラ様に怒られるなんてジョーは経験したことないだろうに。あれは世界一怖い。
「ねぇ、みんな上手くやってるかなぁ。」
EF「アイツらのことだ、ストレス発散にでもしてんだろ。」
「フッ、強いねェ。」
EF「なぁ、俺って強いのか？」
「へ？」
ジョーらしくない弱気な発言。
「いきなりどうしたの？」
EF「いーや、なんでもねぇ。気にすんな。」
「私から見れば、だけど。アンタは強い。マルフィも抜かせるほどにね。」
EF「いや、アイツとは互角だろ？」
「ううん。マルフィと互角なのは魔力だけ。総合的にはアンタの方が強い。」
EF「ほぉ…そりゃ光栄だわ。」
なんだか嘘だァ、って顔してるからきちんと展開してやろう。
「マルフィとジョーの違いは誰かを愛することを知っているかどうか。」
EF「…⁈」
「彼のマスターがオーロラの目を覚ますっていうストーリーの映画もあるくらいだから愛っていう概念はわかってる。でも誰かを愛し、それを信じることがどれだけ強いかを知らない。」
どうだ！口八丁手八丁！
軽くドヤ顔をしてみる。
対するジョーは顔を片手で覆った。
え、そんなに困ること言ったわけ？私。
EF「…お前たまァにめちゃめちゃ恥ずかしくてヤバいセリフ言うよな。」
「私は女子だから何言ってもヤバいセリフにはならないんですゥ〜！」
あ、照れてたのね。
EF「…さっさとメディテレーニアンハーバー行くぞ。ホックのところのガキが待ってんだろ？」
「多分。先にみんなに倒されてなきゃね。」
EF「飛ばなきゃいいけどな。」
「絶対飛ぶよ…。」
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甲羅猫 - もちろん☆1番右です。はい。読み進める手が止まらない(語彙力) (2019年12月18日 15時) (
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作者名：チェシャ | 作成日時：2019年7月14日 1時
