鏡の国のティーパーティ (ページ31)

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鐘と鉤と人間ページ31

S「遠いですね～。アラビアンコースト。」
HK「それなりの距離はあるな。」
VL「見えてきましたわ！フライングカーペット！」

女子三人なのだが、真ん中は明らかに男に見える。
スキャターは思った。

隠れてヴィランズの免許皆伝証を持っている彼女は魔法が使えた。

隠しているとは言えど。

実はウギーブギー様の手下です…なんて言えない。
まさにポライトとは気の合う仲間なのである。

ジャスミン「あらあら、ファージャは居らへんの？」
HK「ご機嫌よう、マドモワゼル。ホックだ。」
VL「ご機嫌よう、ジャスミン姫。ヴェールですわ。」
S「こ、こんにちは！スキャターです！」

いかにも高慢そうなジャスミン。
金の飾りをじゃらじゃら鳴らし、姿勢良く歩いてくる姿は孔雀のよう。

ジャスミン「ほな、さっさと終わらせましょか。」

ジャスミンの金の飾りが全て蛇に変わる。

HK「スキャター、補助魔法をかけた。足はおそらく使い物になる。以前の歌合戦の時のような蹴りをかませばいい。頑張れ。」
S「は、はいッ！」
HK「ヴェールは無理のない程度に遠距離攻撃してくれ。回復を忘れないようにな。」
VL「分かりましたわ！」

手際よく割り振っていくホックに合わせて動き出す。私の役割は蹴る。それだけ。

S「これじゃ、足りないっ！」

自分でほんの少し魔法を継ぎ足す。蹴ったところからそこが腐食していくようにした。

S「邪魔、です！」
蛇はどんどん腐食していく。数十匹はいたような気のする蛇は数が少なくなるとどんどん攻撃を仕掛けてくるようになった。
ヴェールの歌による操りで蛇はどんどん倒れていく。

迫ってくる金の蛇を蹴り倒し、ホックを通した。

HK「そこまでだ、姫君！」
ジャスミン「ッ…！」

ホックが目の前まで来たと同時にジャスミンの蛇を操る手の動きがもつれ、ホックの炎に当たる。途端に蛇が消えた。

HK「私にお前を生かす義理は無い。」
VL「さよなら、高慢なプリンセス。」

ヴェールの歌によって強化されたホックの炎。

その炎はジャスミンの胸を貫いた。彼女は少し悲しそうで、でも強がったような笑みで言った。

ジャスミン「知っとったわ。味方なんておらんてな。それでも強がってしもたウチはやっぱり高慢なんや。素直に顔に出せたらこないなことも起こらんかったわ。」

ジャスミンは愛想の良い、という花言葉を持つ。

その裏である彼女だからこそ高慢という罪を負ったのかもしれない。