鏡の国のティーパーティ (ページ29)

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鴉とV ページ29

バサリ、バサリ。

舞い降りた鴉と人間。

MF「全く、面倒なことを起こしてくれたね。」
V「ホントだよ。」
MF「まぁ、彼らが美しくて強くお互いを愛しているから許すがね。」
V「お前は本当にヴィランズなのか？」

マレフィセントは真実の愛を信じていなかったが、自身のキスによってオーロラを起こした。
それが語られなかった彼女の物語だ。
マルフィが愛を信じるのも分かる。

歩く2人を何やら不穏な雰囲気が包み込む。

「「ここだね」」

貪食の眠り姫、オーロラ。

オーロラ「いらっしゃい、2人とも。マルフィもいるのね。」
MF「ディアバルでなくてすまないね。」
オーロラ「いえいえ、あなたに会えて良かった。やっと鴉を食べられるのですもの！」

悪食。

ポライトもそうだが、この女、オーロラもそうである。三人の妖精は間違えて蜘蛛を食べさせるほどのダメっぷり。それによって育ったのは悪食のプリンセスだった。目にしたものはなにもかも口に入れてしまう。

V「そろそろ、行こうかね。」
MF「そうだね、私も程よい具合に燃えてきたよ。」
オーロラ「行きなさい、動物達！」

フクロウやリス、小鳥などが邪魔をしてくる。

Vの影が動物達を飲み込み、マルフィが影に炎を浴びせて燃やす。Vにダメージは当たらないため、大変楽な戦法だ。

邪魔な動物を一通り片付けたところでオーロラは焦り出した。

オーロラ「私も本気を出さなくちゃね。」

彼女の手から茨が伸びてくる。

マルフィはそれにさらに茨をかけ、止める。

マルフィの顔が一瞬鴉の野生の眼差しへと戻る。
まるでその子を刺す糸車の針のような鋭さで。
オーロラが怯む。

MF「Mr、いまだよ！」
V「分かってるさ、そんなこと。」

ふわっとオーロラの体が浮く。

影が持ち上げているのだろうか。

V「オーロラ、お前の罪は貪食。己の所業でもないのにそのような罪を負った可哀想な子。」
オーロラ「…！」
MF「さあ、安らかに眠りなさい。ただし私は優しくない。だから茨のベットでね。」

オーロラ「あなた達を私は許さない。ヴィランズながらに人々の笑顔を得た。そんなの許さない。あなた方を食べたらどんな味がするの？憎しみ？喜び？ねぇ、教えて、教え…。」

茨に包まれた彼女の声はもう聞こえない。

茨の檻を解くとそこには美しい顔で眠るオーロラと大きなトパーズの宝石が落ちていた。

V「あんなこと言われたのに殺さなかったの？」
MF「我が主人が愛した子だからね。」

その眼差しには優しさがあった。