鏡の国のティーパーティ (ページ25)

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毒林檎とハイエナ～後～ページ25

アップルポイズンside

彼女はリンゴをモチーフにしたルビーを残して消えた。
純粋で澄んだ綺麗なルビー。

なんだか、あっけなかった。
あれほど憎み、殺したい、と思った彼女を影とはいえ殺した、消したのに。

嬉しくない。

誰かの笑顔を求めた、誰かを幸せにしたかった。

その願いだけが彼女を突き動かしていたのだろう。

それが彼女の「嫉妬」だったのかもしれない。

今、現世に体を残している私達だが、一つだけ人間からのみ得るものがある。

それが

純粋な笑顔だ。

消える時の彼女もそんな笑顔を見せてくれた。

所詮はプリンセス。

罪に溺れることはできないのだろう。

それでも私達が彼女を消したことに間違いはない。

AP「なぁ、レディ。」
PS「なぁにィ？林檎ちゃん。」
AP「私達は幸せでいられると思うか。」
PS「？」
AP「いや、なんでもない。少し、疑問を抱いただけだから。」
PS「ふーん。なら誰かが待ってるかもしれないからもうメディテレーニアンハーバーまで行こ！」
AP「そうだな。」

PS「スカーちゃんはね！ダーリンとあとのリクルーター全員で笑っていられればそれで幸せなの！」

そう言って笑うスカー。

AP「あぁ、そうか。」

一人納得がいった。

あの笑顔を、人間たちの笑顔をいつの間にか好きになっていたのかもしれない。

誰かを、リクルーティング目当てではなく笑わせたくなったのかもしれない。

あぁ、いつの間にそんな人間らしくなってしまったのだろう。

私達ヴィランズも笑顔を求めていいのだろうか。

なら。どうか。

AP「ずっとこのままこのリクルーター全員で。」

笑っていられますように。