密告 ページ37
Aは寮生の後に続いて薄暗い廊下を進んだ。尖頭アーチの天井、石造りの壁、緑の炎の灯された蝋燭。巨大な窓から見える空は暗灰色の雲に覆われ、橋の下からはいくつもの茨が伸びている。
やがて着いたディアソムニアの談話室は中世の古城を彷彿とさせるような石造りの壁で構成されていた。薄暗い部屋の中、蝋燭に灯された緑の炎が妖しく揺れている。左右に別れた階段の上には巨大な蝙蝠の翼の付いた黒い玉座があり、それは寮長以外の者が悪戯に腰かけようとすることを阻むかのような冷たく容赦のない威厳に満ちていた。
「副寮長、客人を連れて参りました」
案内人の寮生は仕事を終えたことを告げると、すぐにその場を後にした。
部屋には副寮長のリリアの他にマレウスの護衛であるシルバーとセベクの姿もあり、セベクは意外な来客に驚いていた。これまで何の接点もなく、ただ『主君に勝負を挑んだ無謀な人間』という認識でしかなかったからだ。とはいえ、マレウスを苦戦させた実力は認めてはいたが。
「おおA！ タイミング良いのう。ちょうどお主を招待しようかと思ってたところじゃ」
副寮長のリリアは目を輝かせたが、すぐに相手の顔色に気づくと心配そうに駆け寄った。
「A、何かあったのか？」
Aは意を決して切り出した。
「お伝えしなければいけないことがあります」
友人たちの企みを話している間、三人は沈黙を守ってくれていた。だが語り終えるや否や、セベクが憤怒の形相で声を張る。
「何という見下げ果てた奴らだ！ 若様に危害を加えようとは！ 許せん！ 目にもの見せてくれる！」
その声は雷鳴のごとく響き渡り、窓ガラスを震わせるほどの声量に何事かとディアソムニア寮生たちが駆け込んできた。
「まさかあいつが……ラギーがそんな恐ろしいことをするなんて」
怒り狂うセベクとは反対に、シルバーは心を痛めていた。同じ二年ということもあって接点も多く、友人関係というわけではないがそれなりに情も抱いていた。
「マレウス様によくもそんな！」
「連中に思い知らせてやらなければ！」
次々と声を上げる寮生たちを制止し、リリアはAの肩に優しく手を置いた。
「よく知らせてくれたな。つらかっただろうに」
その言葉に不覚にも涙が溢れそうになり、Aは拳を握りしめることで何とか堪えた。
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リー・マキトータ(プロフ) - 珠梨さん» 大爆笑しました🤣 ちなみに読みは『エウシーダ』で、二つのスワヒリ語を合体させた造語です。 (4月1日 14時) (
レス) id: 042fe54ac4 (このIDを非表示/違反報告)
珠梨(プロフ) - タイトルを入試だ☆と読んでしまった自分は…… (4月1日 14時) (レス) @page2 id: ac62a72ef1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リー・マキトーマ | 作成日時：2020年2月28日 9時
