・ ページ7
…ゴンの意見はこうだ。脚を切られるのは嫌だし、降参するのも嫌だ。仮に自分の脚をハンゾーが切り落としたら、自分は失血死して失格になるのはハンゾーの方だ。
ゴンのその意見は、当然会場の笑いを誘った。
「頭が壊滅的に働いて無いのか…なんなのか、ホント。」
「ふふ、もう大丈夫だ。完全にゴンのペースだよ。ハンゾー含め、我々も全部な。」
会場の空気が緩んでいく中、ハンゾーはギリリと歯を食いしばる。そして刀の刃先をゴンの額に当てた。
ゴンの額からは、たらりと血が流れ落ちている。
「たった一言だぞ？それで来年また挑戦すればいいじゃねーか…」
「命よりも意地が大切だってのか！！そんなことでくたばって本当に満足か！？」
声を荒らげるハンゾー。その瞳は揺らいでいた。それに対してゴンは真っ直ぐにハンゾーの目を見て、ハッキリと言った。
「親父に、会いに行くんだ」
「…今はすごく遠い処にいるけど、いつか会えると信じてる」
「でも」
「もし俺がここであきらめたら一生会えない気がする」
「だから、退かない」
(…こりゃ、ゴンの勝ちだな)
ゴンの話を聞こうと、ゴンの気持ちを知りたいと、思ってしまった時点でハンゾーの負けだ。
そんな気持ちを持てる優しい奴が、ゴンの眼差しに勝てるはずが無い。
「…参った。俺の負けだ」
スっと刀をしまったハンゾー。ゴンはぽかんとしている。
「…そ、そんなのダメだよ、ずるい！ちゃんと二人でどうやって勝負するか決めようよ！」
…少女はハンゾーが気の毒になってきた
「バカかこの！てめーはどんな勝負しようが参ったなんて言わねーよ！」
「だからってこんな風に勝っても全然嬉しくないよ！」
逆ギレするゴンに、ハンゾーは青筋を立てながらゴンの意見を纏める。
「…要するにだ、俺はもう負ける気満々だが、勝つつもりでもう一度真剣に勝負しろと、その上でお前が気持ち良く勝てるような勝負方法を一緒に考えろと、こういうことか？」
「うん！！」
「アホかーー！！！」
ハンゾーが耐えきれずにゴンを殴り飛ばした。どうやらゴンはこれで気を失った様だ。
「……あれは私がハンゾーでも殴りつけてた」
「あいつも変なとこワガママだよな。」
…だから、一緒居て楽しいし、そんなところに惹かれて一緒にここまで来たんだろうけど。
(…とにかく、合格おめでとう。ゴン)
また目が覚めたら、口に出して言ってやろう。
…その時が、別れの時だ。きっと。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 668人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かぴばら2(プロフ) - ネオさん» コメント今気付きました！申し訳ないです！思わず零れたような好き、ありがとうございます！！！これからも更新頑張ります！！ (2021年2月17日 21時) (
レス) id: a02d4950c9 (このIDを非表示/違反報告)
ネオ - 好き、 (2021年2月4日 20時) (レス) id: 58fc4bb18d (このIDを非表示/違反報告)
かぴばら(プロフ) - 赤トンボさん» いや、優しさに甘えてはいけません！！(戒め)少し前まで鬼滅で息を吸ってハイキューで息を吐く生活だったので、次からHHで息を吸ってこの作品で息を吐く生活に戻します！もう末期ですね！本当にありがとうございます！更新頑張ります！！ (2020年4月11日 7時) (レス) id: 90b4b3f2c9 (このIDを非表示/違反報告)
かぴばら(プロフ) - レイカさん» ち、違うんだ！あいつらが、あいつらが誘惑してきたんだー！！！この世はエモい物に溢れすぎている…。土曜日とは言ったものの深夜帯になるかもしれません！！申し訳ない！ミュージカルアニメ漫画見ていっぱい更新するぞ！！ (2020年4月11日 7時) (レス) id: 90b4b3f2c9 (このIDを非表示/違反報告)
赤トンボ - 最近この作品を見始めました。とても面白いです!鬼滅とかハイキューなど面白いのでしょうがないないですよ(笑)作者さんのペースで話を書いても全然大丈夫ですよ！ (2020年4月10日 11時) (レス) id: d4227617d6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かぴばら x他1人 | 作成日時：2019年9月11日 0時
